2012 Fiscal Year Research-status Report
水銀アーク光源蛍光顕微鏡をベースとしたタンパク質活性光制御システムの開発
Project/Area Number |
24659087
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
荒木 伸一 香川大学, 医学部, 教授 (10202748)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江上 洋平 香川大学, 医学部, 助教 (80432780)
川合 克久 香川大学, 医学部, 助教 (80534510)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 細胞 / 光制御 / 分子スイッチ / 顕微鏡技術 / イメージング |
Research Abstract |
植物の青色光センサードメインを融合させたRhoGTPaseは、共焦点顕微鏡のレーザースキャン照射によりコンフォメーション変化をおこし可逆的に活性化させることができ、次世代タンパク質機能解析法として注目される。本研究は、通常の水銀アーク光源を利用した電動蛍光顕微鏡をベースとしイメージングソフトのマクロプログラミングにより高度に自動化することで安価で実用的な光制御イメ-ジングシステムを構築することを目的とする。 蛍光顕微鏡は、37℃のステージチャンバーを備えた倒立型電動顕微鏡(Leica DMI6000)をベースとし、励起用光源は、超高圧水銀アークランプを外部光源として使用し5段階NDフィルターの電動ホイールにより光量を調節した。電動励起光絞りを利用して励起光照射部位のサイズを5段階で選択できるようイメージングソフトから連動制御可能とした。蛍光フィルターキューブは、光刺激用にCFPフィルター、蛍光画像取得用にRFPフィルター、YFPフィルターを電動ターレットに備え高速回転で波長チェンジさせる。透過光の光路には、500 nm-ロングパスフィルターを挿入することにより、LOV感受性光をカットした。対物レンズは、100倍オイル浸レンズを用いた。画像取得には高感度高精細デジタルカメラを使用した。光制御システムは、MetaMorphイメージングソフトウェアのジャーナル機能でプログラミングし、自動で光刺激と画像取得を行った。RAW264マクロファージ、PC3細胞にPhoto-activatable(PA)-Rac1のcDNAをNeon遺伝子導入装置で導入し、12-24時間後にRac1活性光制御実験を行った。これらのシステムを用い、光照射によりRac1依存性と思われる細胞運動を安定して誘起することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電動顕微鏡と周辺機器の統合化、イメージングソフトのプログラミングによる光刺激とタイムラプス画像の取得の自動化に成功し、簡便かつ有効な蛍光顕微鏡光制御システムが構築できた。このイメージング装置を用いてPA-Rac1発現細胞でRac1依存性の細胞運動を誘起することに成功し、励起光の強度や時間などの条件もおおむね決定することができたので、本研究は、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
KillerRedを用いた chromophore-assisted light inactivation(CALI)解析への応用 KillerRedはAnthomedusaeクラゲの発色タンパク質であるanm2CPを改変して開発された新規の赤色蛍光タンパク質で、540~580nmの緑色光照射によって活性酸素ROSを産生するというユニークな特長を持つ蛍光タンパク質である。緑色光照射によって産生された活性酸素で、in vivoにおける目的タンパク質の正確な光分子機能不活性化や選択的な細胞死誘導の研究への応用が期待される。 PA-Rac1の水銀アーク光源蛍光顕微鏡光制御のシステムを基にして、光刺激の波長を緑色光(540-580 nm)に入れ替えることにより、KillerRed融合タンパク質発現細胞で光刺激によるタンパク質を不活性化(細胞内局所的ノックダウン実験)や細胞死誘導への応用を試みる。透過光源の光路には、500 nmショートパスフィルターを挿入し、KillerRedへの刺激をブロックする。マクロプログラミングは、蛍光波長フィルター選択の変更のみで行える。KillerRedを融合させるタンパク質としては、Rac1,Cdc42,Rab35,actinin4などを予定している。これらのタンパク質のCALI不活性化解析とPA-Rac1, PA-Cdc42の組合せにより細胞内アクチン構築などへの影響を観察したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現状の制限絞りでは、光刺激を行う領域は最小でも細胞の半分程度であり、細胞のより局所に光を絞ってあてるには、さらにサイズの小さい絞りをオーダーメイドで作成し、顕微鏡に組み込む必要がある。本年度で光刺激顕微鏡システムがほぼ構築できたので、次年度に光刺激領域の縮小化が可能となるよう改良を加えるために研究費を次年度に使用する。
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