2012 Fiscal Year Research-status Report
クラススイッチ組換え制御によるアレルギー制御・治療法の探索
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24659147
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
清水 章 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00162694)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 免疫学 / クラススイッチ / 遺伝子組換え / アレルギー / 免疫制御 |
Research Abstract |
本研究では、細胞培養系において高効率で IgA へのクラススイッチ組換えを誘導できる実験系を確立し、これをもとに IgE、IgA 遺伝子の組換え前転写(GT)の特異的に誘導に結びつく刺激を検索し、IgE、IgA へのクラススイッチ組み換えに特異的に関与する因子の同定を試み、次にこれらの結果を具体的なアレルギー制御・予防法に発展させるために、IgE へのクラススイッチ組換えが特異的に抑制され、IgA クラスへの組換えが増強される様な特異的因子の組み合わせ、発現量等を割り出し、自然発症アレルギーマウスなど各種モデルマウスの B リンパ球でこのバランスに 乱れがあるかを探索した。このための実験として、以下のことを行った。 1. 細胞培養系において正常人およびマウスの脾臓 B リンパ球に対して高効率で IgA へのクラススイッチ組換えを誘導できる刺激を検索した。2. IgA 遺伝子 GT の特異的に誘導に結びつく刺激を検索した。3. 標的特異性とクロマチン開放ならびに非組換え型転写との相関を検討した。4. IgA特異的クラススイッチ組み換えを誘導する刺激の中で、特に IgA 特異的 GT を誘導できる刺激を検索した。5. IgA、IgE 両遺伝子の GT プロモーターに特異的働くことで GT 制御への関与が予想される転写因子群が実際に制御に関与していることを確認した。6. IgA、IgE 遺伝子のGTプモーター領域のそれぞれに結合してこれを制御していると想定される転写因子を結合候補配列、誘導時における発現パターン、遺伝子破壊マウスの B リンパ球が示す表現型等から選び出し、実際に両プロモーターへの結合があるか検討した。 これらの実験結果を総合して、新規で 画期的な根本的アレルギー制御・予防法の開発に挑戦するするための基礎的データを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画調書および交付申請書に記載し、計画した実験をほぼ完了し、細胞培養系において高効率で IgA へのクラススイッチ組換えを誘導できる実験系確立に成功する等、ほぼ当初目標を達成している。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた結果を具体的なアレルギー制御・予防法に発展させる基礎を得るために、 1. IgE、IgA へのクラススイッチ組み換えへの特異的関与が判明した因子ついて、前年度に確立した培養系で強 制発現させてその効果を解析し、実際に特異的クラススイッチ組換えを制御できるか検討する。加えて、IgE へのクラススイッチ組み換えへを誘導した後に IgA へのクラススイッチ組み換えへの特異的因子を発現させるとで、IgE 産生細胞に IgA への組み換えを誘導できるか検討する。2. 上記因子の部分欠損体や活性部位への変異導入体を強制発現させ、GT 産生に対する効果を解析し、その機能発現の分子基盤を明らかにする。これらの因子と相互作用する因子群を検索し、ネットワークを形成している制御因子群を同定する。3. IgE 遺伝子の GT や組み換えに抑制的に働き、これを IgA のそれに振り替えることができる因子、あるいはその調節の中心となる因子の同定を目指す。4. 検出されたGT量への効果が標的遺伝子クラススイッチ領域(S領域)のクロマチン開放や最終的組換え効率にまで及ぶものか検討する。 以上の結果を総合して、IgEへのクラススイッチ組換えが特異的に抑制され、IgAクラスへの組換えが増強される 様な特異的因子の組み合わせ、発現量等を割り出し、5. 自然発症アレルギーマウスなど各種モデルマウスの B リンパ球でこのバランスの乱れがあるかを探索する。 以上よって本研究でIgE、IgAへの特異的組換えの鍵となると想定された因子の異常が同定できればこれを標的として、発現量等を変調する薬剤を、本培養系を用い発現プロファイルによって探索的に検討し、候補薬剤が発見できれば自然発症アレルギーマウスやIgE産生を誘導するように抗原を投与した動物にこれを与え、実際に制御できるかを検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度に引き続き、分子生物学的実験を主として行うため、これに必要な酵素類、抗体、遺伝子導入試薬類、細胞培養試薬等の消耗品費として主に使用する。この他、実験を補助するものへの謝金、成果を抗ヒョするための英語論文の校閲費、論文公表のための投稿料、印刷費ならびに成果公表のための国内外旅費としても使用する。
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[Journal Article] An exploratory clinical study on the safety and efficacy of an autologous fibroblast-seeded artificial skin cultured with animal product-free medium in patients with diabetic foot ulcers.2013
Author(s)
Morimoto, N., Ito, T., Takemoto, S., Katakami, M., Kanda, N., Tada, H., Tanaka, S., Teramukai, T., Kawai, K., Nakamura, Y., Kasai, Y., Yokode, M., Maekawa, T., Shimizu, A. and Suzuki, S.
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Journal Title
International Wound Journal
Volume: 10
Pages: in press
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] In situ differentiation of CD8αα T cells from CD4 T cells in peripheral lymphoid tissues.2012
Author(s)
Nambu, Y., Hayashi, T., Jang, K.J., Aoki, K., Mano, H., Nakano, K., Osato, M., Takahashi, K., Itoh, K., Teramukai, S., Komori, T., Fujita, J., Ito, Y., Shimizu, A. and Sugai, M
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 2
Pages: 642
DOI
Peer Reviewed