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2012 Fiscal Year Research-status Report

リジン脱メチル化阻害による抗加齢効果とその応用開発

Research Project

Project/Area Number 24659152
Research InstitutionKumamoto University

Principal Investigator

中尾 光善  熊本大学, 発生医学研究所, 教授 (00217663)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2014-03-31
Keywords遺伝子 / 発現制御 / 老化 / エピゲノム
Research Abstract

遺伝と環境の相互作用で生じる加齢性疾患には、生活習慣病、認知症、癌等が挙げられるが、複合的な発症機序および治療・予防法には不明な点が極めて多い。近年、DNAのメチル化とヒストン修飾等で形成されるエピゲノムの実体が明らかになり、さらに環境因子や細胞老化がエピゲノムに多大に影響することが示唆されてきた。本研究では、ヒストンのメチル化および脱メチル化に着目し、細胞老化における関わりについて明確にすることを目的とする。得られた結果を抗加齢という治療・予防ポテンシャルにつなげることによって、世界に先駆けた老化エピゲノム研究を推進する。
具体的には、リジン脱メチル化酵素LSD1およびメチル化酵素の共役因子MCAF1について解析を行い、細胞老化に関わる新知見を得ることができた。RNA干渉法や化合物を用いたLSD1阻害によって、種々の細胞でミトコンドリア機能が活性化することが判明した。一般に、細胞老化ではミトコンドリア機能が低下することが知られており、重要な意義があると考えている。さらに、SETDB1メチル化酵素の共役因子であるMCAF1について検討を行い、RNA干渉法でMCAF1を選択的に阻害した線維芽細胞は、老化状態に誘導されることが分かった。各種の老化マーカーが有意に増加して、ヒストンの遺伝子やタンパク質が著しく減少することが判明した。このように、老化のエピジェネティックな制御機構を明らかにして、その応用開発について進める。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

リジン脱メチル化酵素LSD1およびメチル化酵素の共役因子MCAF1が細胞老化に関わる可能性を見出しており、最先端の研究展開が期待できるため。

Strategy for Future Research Activity

ヒストンのメチル化および脱メチル化に着目し、細胞老化における関わりについて検討を進める。抗加齢という治療・予防ポテンシャルにつなげることで、世界に先駆けた老化エピゲノム研究を推進する。リジン脱メチル化酵素LSD1およびメチル化酵素の共役因子MCAF1が、細胞老化に関わる新知見を得ることができたので、これらの機序をより明確にする研究を推進し、老化のエピジェネティックな制御機構に基づいた応用開発を進めていく。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

(1)老化細胞におけるLSD1の発現状況に関する解析
[1] 細胞老化におけるLSD1の発現解析:線維芽細胞株でER-Rasの発現誘導を行い、ヘテロクロマチン形成を免疫染色で確認する。LSD1やINK4の発現を検討する。同様に、複製後セネッセンスで検討する。[2] マウス代謝組織におけるLSD1の発現解析:週齢の異なるマウスで、各種組織での発現状況を検討する。[3] LSD1の細胞内複合体形成の解析:特異的な抗体を用いて、免疫沈降および免疫染色を行い、細胞内や組織内の複合体形成や局在を検討する。
(2)LSD1阻害による遺伝子発現および代謝機能の解析
[1] LSD1のRNA干渉法、トラニルシプロミンによる阻害:LSD1の特異的ノックダウン、トラニルシプロミンまたは阻害化合物を用いる。[2] LSD1阻害における遺伝子発現の網羅的解析:マイクロアレイで検討する。[3] LSD1のクロマチン免疫沈降-リアルタイムPCR解析:特異抗体を用いたクロマチン免疫沈降を行い、標的遺伝子プロモーターにおける局在を検討する。[4] LSD1阻害におけるミトコンドリア機能の解析:蛍光色素JC-1の細胞染色、細胞外フラックスアナライザーを用いて、細胞の代謝能を検討する。
(3)MCAF1阻害による細胞老化誘導の解析
[1] MCAF1のRNA干渉法による阻害。細胞老化のマーカーについて検討する。[2] MCAF1阻害における遺伝子発現の網羅的解析:マイクロアレイで検討する。[3] 細胞老化の解析:ヌクレオソームの形成状態、ヒストンの発現、細胞核内のクロマチン状態をヌクレアーゼ感受性、ウエスタンブロット、細胞染色などで解析する。

  • Research Products

    (7 results)

All 2012

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (3 results) (of which Invited: 3 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] The role of methyl-binding proteins in chromatin organization and epigenome maintenance2012

    • Author(s)
      A. Fournier, N. Sasai, M. Nakao and P.A. Defossez
    • Journal Title

      Brief Funct. Genomics

      Volume: 11 Pages: 251-264

  • [Journal Article] Quantitative assessment of higher-order chromatin structure of the INK4/ARF locus in human senescent cells2012

    • Author(s)
      A. Hirosue, K. Ishihara, K. Tokunaga, T. Watanabe, N. Saitoh, T. Chandra, M. Narita, M. Shinohara, and M. Nakao
    • Journal Title

      Aging Cell

      Volume: 11 Pages: 553-556

  • [Journal Article] FAD-dependent lysine demethylase LSD1 regulates cellular energy expenditure2012

    • Author(s)
      Hino S.
    • Journal Title

      Nat. Commun.

      Volume: 3 Pages: 758

    • DOI

      10.1038/ncomms1755

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 高次エピゲノム機構による細胞プログラムの制御2012

    • Author(s)
      中尾光善
    • Organizer
      第85回日本生化学会大会
    • Place of Presentation
      福岡市、福岡国際会議場
    • Year and Date
      20121215-20121215
    • Invited
  • [Presentation] エピジェネティクス機構によるエネルギー代謝調節と病態2012

    • Author(s)
      中尾光善
    • Organizer
      日本人類遺伝学会第57回大会
    • Place of Presentation
      東京都、京王プラザホテル
    • Year and Date
      20121025-20121025
    • Invited
  • [Presentation] エピジェネティクス機構による細胞制御と病態2012

    • Author(s)
      中尾光善
    • Organizer
      第35回日本基礎老化学会
    • Place of Presentation
      船橋市、東邦大学
    • Year and Date
      20120726-20120727
    • Invited
  • [Book] 栄養とエピジェネティクス―食による身体変化と生活習慣病の分子機構2012

    • Author(s)
      中尾光善ら
    • Total Pages
      141
    • Publisher
      建帛社

URL: 

Published: 2014-07-24  

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