2012 Fiscal Year Research-status Report
自己血管内皮細胞反応性NKT細胞による中小型血管炎発症モデル
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24659171
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石津 明洋 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (60321957)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 血管炎 / 自己反応性 / NKT細胞 / 血管内皮細胞 |
Research Abstract |
ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-I)のenv-pX遺伝子を導入したラット(env-pXラット)は免疫複合体や抗好中球細胞質抗体(ANCA)に非依存性の中小型血管炎を発症する。これまでの研究により、本ラットでは自己血管反応性T細胞による自己免疫性血管炎が発症すると考えられている。我々は、env-pXラットのリンパ節細胞を血管内皮細胞(EC)で繰り返し刺激することにより、EC依存的に増殖亢進を示すNKT細胞クローン1B8改めVASC-1を樹立した。VASC-1はECと反応することにより、細胞表面のCD62Lのsheddingを受ける。また、IL-2やIL-5などの炎症性サイトカインを産生する。一方、ECはVASC-1と反応し、eotaxinを産生する。VASC-1を野生型ラットに静注することにより、小型血管炎が誘導された。よって、VASC-1はECと相互に活性化し、血管炎を誘導すると考えられた。NKT細胞はCD1d分子に提示された糖脂質を認識するとされているが、自己ペプチドを認識するという報告もある。一方、CD1d分子は動物種間で構造が比較的良く保たれた分子である。そこで、サル由来のCOS7細胞にラットcDNAライブラリをトランスフェクションし、約100株のトランスフェクタントライブラリを作製、VASC-1と共培養し、VASC-1にIL-2やIL-5などの炎症性サイトカイン産生を誘導するトランスフェクタントクローン4D2を見出した。4D2に組み込まれたラット遺伝子が血管炎の標的となっている可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1) VASC-1がNKT細胞であることを確実にする。 2) VASC-1が認識するEC抗原を同定する。 3) VASC-1がECと反応した後、血管炎を誘導する機序を明らかにする。 4) ヒト中小型血管炎におけるNKT細胞の関与を証明する。 上記の研究目的のうち、1)と3)はほぼ達成された。2)も順調に進展している。よって、全体的におおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 4D2に導入されたラット遺伝子を同定する。同分子がCD1dに提示され、T細胞受容体(TCR)を介してVASC-1に認識されることを明らかにする。 2) 1)で同定する分子を認識するNKT細胞が、免疫複合体ならびにANCAに非依存的な中小型血管炎患者の末梢血に存在するか検討する。また、その機能について、他の血管炎の患者、他の自己免疫疾患患者、ならびに健常者の末梢血を対照として比較検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現有の物品を極力無駄を省いて有効活用したことにより、次年度使用額が発生しました。次年度に実施を計画している研究において、10万円程度のキットを数回使用する予定を含め、物品費(消耗品費)として約200万円、成果発表のための国内旅費として約10万円、論文掲載費として約10万円を使用する計画です。
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Research Products
(17 results)