2012 Fiscal Year Research-status Report
放射線耐性の克服に向けたミトコンドリア研究の新展開
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24659174
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福本 学 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (60156809)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / 活性酸素 / X線 / ドセタキセル |
Research Abstract |
本研究では、標準的放射線療法である2Gy/日のX線を30日以上照射しても増殖を続ける臨床的放射線耐性(clinically relevant radioresistant; CRR)細胞とその親株を解析に用いた。HepG2細胞(親株)に10GyのX線を照射又は100ng/mlのドセタキセル(docetaxel; DTX)を処理すると、細胞内にROSの発生が認められた。しかし、CRR細胞では認められなかった。ミトコンドリア(mt)に由来するROSを特異的に検出する蛍光色素を用いて解析を行うと、同様の結果が得られた。さらに、H2O2を特異的に検出する蛍光色素を用いて解析すると、X線照射又はドセタキセル処理後、親株では細胞内にH2O2の増加が認められたのに対して、CRR細胞では認められなかった。CRR細胞がDTX及びX線に耐性を示すのは、生じたH2O2が効率よく分解されているためであると推測した。H2O2の分解に中心的役割を果たすことが知られているカタラーゼ遺伝子(CAT)の発現をRT-PCRで解析すると、CRR細胞では親株に比べて有意に発現の上昇が認められた。しかし、CRR細胞のCATをsiRNAで発現抑制すると、X線感受性に変化は見られなかったものの、DTXへは感受性になった。しかし、親株と同等の感受性までにはならなかった。以上から、DTX耐性にCATが関与しているがCRR細胞のDTX耐性にCATのみが関わっているわけではないことが示唆された。現在、mtの電子伝達系がCRR細胞のDTX耐性に中心的な役割を果たしているのではないかと推測し、mtDNA欠失細胞であるρ0細胞の樹立に取り組んでおり、一部の細胞株からはその樹立に成功している。また、CRR細胞は親株に比べてmt電子伝達系阻害剤に高感受性を示すことを明らかにしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年研究実施計画はほぼ全て達成したため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究実施計画に基づいて研究を進める。既に、京都大学原子炉実験所の共同利用申請は受理されており、ホウ素中性子捕獲は滞りなく進めることが出来る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(28 results)