2012 Fiscal Year Research-status Report
アクリジンオレンジ光線力学療法による耐性菌感染の制御
| Project/Area Number |
24659284
|
|---|
| Research Institution | Nippon Medical School |
|---|
Principal Investigator |
角田 隆 日本医科大学, 医学部, 助教 (10386188)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野呂瀬 嘉彦 日本医科大学, 医学部, 助教 (10097024)
高井 信朗 日本医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10226730)
高橋 謙治 日本医科大学, 医学部, 准教授 (30347447)
前田 美穂 日本医科大学, 医学部, 教授 (90173715)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
| Keywords | 感染制御 / 耐性菌感染 / 光線力学療法 / 光感受性物質 / アクリジンオレンジ |
|---|
| Research Abstract |
本研究を行うにあたり、アクリジンオレンジ濃度、照射光の強さ、照射時間に関する至適条件を決定するために、メチシリン耐性ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、バンコマイシン耐性腸球菌、大腸菌の4種類の菌種に対してアクリジンオレンジ光線力学療法を行った。
その結果アクリジンオレンジ濃度は、現在の臨床研究で使用している1μg／mlから10μg／mlでは容量依存による効果の差は生じなかったために1μg／mlとした。照射光の強さは、10000ルクスから50000ルクスまで検証したところ、照射光の強さに依存して増殖抑制効果が得られた。また、照射時間は0～10分までは照射光の強度に関わらず時間依存性に増殖抑制効果が増強したが、10～15分では照射光の強度に関わらずほぼプラトーに達した。臨床応用を念頭においた場合に施行が可能な現実的な条件として、照射光の強度は50000ルクス、照射時間は10分で固定して実験を行った。
この条件で行った実験では、菌種により増殖抑制効果に差がみられた。メチシリン耐性ブドウ球菌では強い増殖抑制効果がみられたのに対して、大腸菌ではほとんど増殖抑制効果はみられなかった。表皮ブドウ球菌、バンコマイシン耐性腸球菌では増殖抑制効果がみられたが、メチシリン耐性ブドウ球菌ほどではなかった。
以上の結果については、第35回日本骨・関節感染症学会、関東骨軟部腫瘍の基礎を語る会（第１回春のセミナー）で報告した。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験環境から同時に照射できるシャーレ数が限られてしまい、対象の菌種が４菌種のみの検討になってしまった。
照射光を照射範囲内で均一になるように一定に保ちながら10個程度のシャーレを同時に照射できる装置を導入して、実験効率を上げて菌種を増やすこと、条件を変えて検証することができるようにした。
|
| Strategy for Future Research Activity |
過去の文献では同一実験条件下で多菌種に対して光感受性物質を利用した光線力学療法を比較したものはない。単一菌種ごとの実験で、また使用した光感受性物質も実験ごとに異なっていたが、それぞれの実験では概ね90%程度は増殖は抑制されるといわれていた。
今後は菌種を増やしてどの菌種で増殖抑制効果が得られるのか、また菌種による増殖抑制効果の差が何によって生じるものなのかという点にも着目して、臨床での応用ができるような治療方法を探索していく予定である。
まず、菌種により増殖抑制効果に差が生じた原因を探索するために、各菌種によりアクリジンオレンジの菌内への取り込みに差があるのかを培地、温度、PHなどの培養環境を変動させながら蛍光顕微鏡により観察する。
また菌内への取り込みの差がアクリジンオレンジでみられた場合には、他の光感受性物質で差がみられるかどうかについても検証する予定である。
また、照射光については強度をさらに上げた場合に増殖抑制効果がどの強度でプラトーになるのか、さらに波長ごとに増殖抑制効果を確認して、より効率的に増殖抑制効果が得られる方法を探索していく予定である。
|
| Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
各種の条件毎に菌内へのアクリジンオレンジなどの光感受性物質の取り込みを観察するために記録機能が付いていて、観察光の波長の変更が可能な蛍光顕微鏡ならびに記録のためのCCDカメラを購入予定です。
その他消耗品として培地、アクリジンオレンジ液などの購入を予定しています。
|
