2012 Fiscal Year Research-status Report
オートラジオグラフィー・カルシウムイメージングによる脳・脊髄の痛みの可視化
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24659294
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
宮崎 信一郎 大阪医科大学, 医学部, 助教 (30411359)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南 敏明 大阪医科大学, 医学部, 教授 (00257841)
森本 賢治 大阪医科大学, 医学部, 助教 (20388250)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 疼痛の発生・増強機序 / アロディニア / アクロメリン酸 / アクロメリン酸誘導体 / カイニン酸 |
Research Abstract |
我々の共同研究チームは、日本で唯一、アクロメリン酸A およびアクロメリン酸誘導体を合成している。アクロメリン酸が神経興奮作用を持つこと,アロディニアを惹起させることなどが明らかにされてきた。そうした背景のなか、新たな神経障害性疼痛の治療薬の手段となりうるアクロメリン酸誘導体PSPA-4に関して以下の知見を得た。 1. PSPA-4 の薬理効果:アクロメリン酸誘導体であるPSPA-4をマウスの脊髄腔内に投与し、触覚刺激を加え、アロディニアを評価した。PSPA-4は、高用量でアロディニア誘発作用を有し、一方、低用量では、アクロメリン酸A惹起のアロディニアを抑制した。 2. in vitro ARG法:[11C]PSPA-4は、ラットの脳、特に海馬、尾状核被殻、皮質および脊髄全体に結合した。[11C]PSPA-4の結合は、PSPA-1、PSPA-4、カイニン酸で阻害されたが、GYKI53655では、阻害されなかった。[3H]カイニン酸の結合部位は、[11C]PSPA-4と類似し、脊髄では、後角に強い結合を認めた。その結合は、PSPA-1、PSPA-4で阻害された。PSPA-4は、カイニン酸受容体に結合していることが示唆された。 3. カルシウムイメージング法:PSPA-4は後根神経節(DRG)培養細胞内のカルシウム濃度を上昇(27.9 ±12.7%)させ、カイニン酸(9.5 ± 4.0%)とは異なる反応を示した。 PSPA-4は、アロディニア誘発作用と抗アロディニア作用の二面性を有し、脳・脊髄でカイニン酸受容体に結合することが示唆された。一方で、PSPA-4は、DRGにおいてカイニン酸とは異なる反応を示した。今回の結果よりPSPA-4は、アクロメリン酸Aの作用メカニズムの解明だけではなく、中枢神経および末梢神経での痛みの伝達機構の解明に寄与する可能性を秘めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に計画していた研究内容は、順調に施行することができた。共同研究者である関西医科大学の松村講師らの援助もあり、平成25年度に当初予定していたカルシウムイメージング法を用いた実験も実施することができた。実験結果より、PSPA-4は、今後の新たな神経障害性疼痛の治療薬の手段となりうる可能性を秘めており、その作用部位は、脳・脊髄ではカイニン酸受容体であることを解明した。しかしながら、後根神経節では、PSPA-4はカイニン酸とは異なり、カルシウムの透過性を上昇させるアゴニスト活性を示したため、PSPA-4は既知のカイニン酸受容体とは異なる経路でアロディニアに関与していることが示唆された。 以上の内容を、日本麻酔科学会第59回学術集会および第14回世界疼痛学会で学会発表を行い、痛みを研究のテーマとしている他の研究者らと活発な議論を交わすことができた。また、研究内容を学術誌「European Jouranl of Pharmacology」に投稿し、受理された。現在は、in press の状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、神経障害性疼痛モデルの標本を用いて、in vitro ARG 法とカルシウムイメージング法を行い、痛みによってPSPA-4の結合がどのように変化するかを検討する。 2種類の神経障害性疼痛モデル(L5 神経結紮モデル:Chung モデル、アクロメリン酸A 髄腔投与モデル)の脳・脊髄を使用して実験を行う。これらのモデルの脳・脊髄標本を用いて、[11C]PSPA-4 の結合部位の違い、結合の程度の違いを論文投稿した実験結果と比較し、どのような変化が現れるかを検討する。同様に、DRG でカルシウムの透過性が、神経障害性疼痛モデルではどのように変化するかを検討する。また、神経障害性疼痛モデルに対するPSPA-4またはその他のアクロメリン酸誘導体の効果を、当研究室で購入した体重負荷測定システムを用いて評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究では、神経障害性疼痛モデルの実験動物を使用しなかったため、動物購入費用の未使用額が生じた。また、実験試薬に関しても、研究の進捗度合いから未使用額が生じた。未使用額は次年度の研究費と合わせて、下記の費用に充当する。 1.神経障害性疼痛モデルを作成する為の、実験動物(Wisterラット、ddYマウス)の購入費用および痛みの閾値を測定する実験器具・解析機器の購入費用。 2.in vitro ARG 法とカルシウムイメージング法に必要な実験器具・試薬・消耗品の購入費用 3.研究打ち合わせ・学会参加の旅費。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] The action site of the synthetic kainoid (2S,3R,4R)-3-carboxymethyl-4-(4-methylphenylthio)pyrrolidine-2-carboxylic acid (PSPA-4), an analogue of Japanese mushroom poison acromelic acid, for allodynia (tactile pain)2013
Author(s)
Shinichiro Miyazaki, Toshiaki Minami, Hiroshi Mizuma, Masakatsu Kanazawa, Hisashi Doi, Shinji Matsumura, Jingshan Lu, Hirotaka Onoe, Kyoji Furuta, Masaaki Suzuki, Seiji Ito
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Journal Title
European Journal of Pharmacology
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed
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