2014 Fiscal Year Research-status Report
ヒ素感受性関連遺伝子群の探索と毒性発現・生体防御機構の解明
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24659301
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
信國 好俊 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 准教授 (80295641)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 三酸化ヒ素 / 薬毒物感受性 / 薬毒物耐性 / 抗がん剤耐性 / ジーントラップ / ゲノム機能 / トキシコゲノミクス / 責任遺伝子探索 |
Outline of Annual Research Achievements |
「ヒ素中毒の予防と治療法の開発」と「ゲノム機能学的責任遺伝子探索法の確立」を目的に、ジーントラップ挿入変異細胞ライブラリーを用いたヒ素感受性関連遺伝子群の探索とその機能解析に取り組んだ。しかし、平成25~26年度は職場環境・研究環境の悪化から実験がほとんどできず、コンピューターを用いた遺伝子情報の解析を進めたが、研究の遅れが生じたため1年間の研究期間の延長をお願いした。 1.ヒ素感受性低下(耐性)変異細胞の単離と責任遺伝子の解明:ジーントラップ挿入変異CHO細胞ライブラリー(Nobukuni et al., JBC, 2005)から、三酸化ヒ素処理(40μM, 3~4 hr)でも生き残ったヒ素感受性低下変異細胞34クローンの解析を行った。ジーントラップ法で生じたキメラRNAの内因性遺伝子部分を5’RACE法で増幅後塩基配列を決定後、その配列のBLAST検索で、トラップされた遺伝子11個(P450関連遺伝子1個、シグナル伝達関連遺伝子1個、蛋白合成関連遺伝子2個、がん関連遺伝子1個、機能未同定遺伝子6個)を同定した。その中のP450関連遺伝子について、miRNAを用いた遺伝子ノックダウン細胞を作製し検討を進め、P450酵素系がヒ素感受性を決定する因子の一つであることを確認した。 (平成24年度) 2.ジーントラップ挿入変異細胞ライブラリーを用いた遺伝子探索でこれまでに明らかとなったジフテリア毒素感受性、抗腫瘍活性物質Agelastatin感受性、あるいは細胞内コレステロール代謝輸送に関与する候補責任遺伝子群の情報検索と比較検討を行い、ジーントラップ挿入変異細胞ライブラリーを用いた責任遺伝子探索法の有用性を確認した。また、発がんとも関与するWnt/カテニンシ-グナル伝達経路構成成分の1つが三酸化ヒ素感受性に関連していることを明らかにした。(平成25~26年度)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成25~26年度は実験に必要な安全キャビネット、クリーンベンチや機器等が使えなくなる、実験機材や実験試薬等の散逸等の職場環境・研究環境の悪化から実験がほとんどできない状況となった。そのため、ゲノム機能学的遺伝子探索で明らかとなった候補遺伝子が真の責任遺伝子であることの証明、また論文として発表するための生化学的実験・細胞生物学的実験が行えなかった。問題は大学本部へも報告し、実験再開に向けての職場環境・研究環境の改善をお願いしているところだが、改善はされていない。 以上の理由から、①これまでに明らかとなったヒ素感受性候補遺伝子群の遺伝子情報の解析、②ジフテリア毒素感受性、抗腫瘍活性物質Agelastatin感受性、あるいは細胞内コレステロール代謝輸送に関与する候補遺伝子群との比較検討等よる機能トキシコゲノミクス的遺伝子探索法としての有用性の確認、③関連文献の収集と検討等、コンピューターを用いた遺伝子情報の解析を中心に研究を続けるとともに、1年間の研究期間の延長をお願いしたところである。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、問題を大学本部へも報告し職場環境・研究環境の改善をお願いしている。実験が再開できる状況になり次第、以下の研究に取り組む予定である。 1.トラップされた遺伝子が「真の責任遺伝子」であることの証明:遺伝子ノックダウンあるいは遺子導入により、トラップされた遺伝子が「真の責任遺伝子」であることを順次確認する。 ① miRNAを用いた遺伝子ノックダウンによる正常細胞のヒ素感受性低下の確認:Tetracyclin Repressorを用いた遺伝子スイッチでmiRNAの発現をON/OFFする薬剤誘導性遺伝子ノックダウン細胞株を樹立する。このことで、目的遺伝子のノックダウンと正常状態を1つのクローンで解析することが可能となる。目的遺伝子のノックダウンによるヒ素感受性の低下を確認することで、「真の責任遺伝子」であることを証明する。② ヒ素感受性低下変異細胞への野生型正常cDNAの遺伝子導入によるヒ素感受性回復の確認:ヒ素感受性低下変異細胞での、Tetracyclin Repressor 遺伝子スイッチを用いた正常cDNA発現細胞株を樹立する。正常cDNA発現によるヒ素感受性の回復を確認することで、「真の責任遺伝子」であることを証明する。 2.ヒ素感受性関連遺伝子群の情報を手がかりに、ヒ素の毒性発現機構及びヒ素に対する生体防御機構の解明を目指す。更に、ヒ素に関する本研究を推し進めることで、他の様々な環境有害物質の標的分子や感受性に関与する遺伝子群、生体防御機構の解明を可能とする新たなゲノム機能学的、機能トキシコゲノミクス的遺伝子探索法を確立する。
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Causes of Carryover |
職場環境・研究環境の悪化から実験の一時中断を余儀なくされている。現在、問題を大学本部へも報告し、職場環境・研究環境の改善をお願いしている。実験が再開できる状況になり次第、以下の研究に取り組む予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
1.トラップされた遺伝子が「真の責任遺伝子」であることの証明:Tetracyclin Repressorを用いた遺伝子スイッチを用いたmiRNAあるいは野生型正常cDNAの薬剤誘導性発現細胞株を樹立し、遺伝子ノックダウンあるいは遺伝子導入によるヒ素感受性の変化を確認することで、トラップされた遺伝子が「真の責任遺伝子」であることを順次証明する。ヒ素感受性関連遺伝子群の情報を手がかりに、ヒ素の毒性発現機構及びヒ素に対する生体防御機構の解明を目指す。2.更に、ヒ素に関する本研究を推し進めることで、他の様々な環境有害物質の標的分子や感受性に関与する遺伝子群、生体防御機構の解明を可能とする新たなゲノム機能学的、機能トキシコゲノミクス的遺伝子探索法を確立する。3.生じた次年度使用額は、以上の実験を進めるための試薬等の購入費と研究成果の発表(学会発表・論文発表)に使用する。
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Research Products
(5 results)