2012 Fiscal Year Research-status Report
アルツハイマー病による全身糖エネルギー代謝への影響
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24659349
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
里 直行 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70372612)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ベータ・アミロイド / 相互病態修飾 / 糖代謝 |
Research Abstract |
超高齢化を迎える現在社会においてアルツハイマー病(AD)は解決の待たれる疾患であり、食事の欧米化に伴い、糖尿病が増加している。疫学的調査により、糖尿病がADの発症危険因子であることが支持されている。しかし、その機序は判明しておらず、我々は機序解明を目指して糖尿病合併ADモデルマウスを作成した。その結果、糖尿病がADの病態を悪化させることが確認されたが、興味深いことにADが糖尿病を悪化させる可能性を突き止めた。そこで本研究においては、Tet-offのシステムを用いて、脳内ベータ・アミロイド量をコントロールし、ADが糖尿病を悪化させる機序を明らかにすべく研究を行っている。本年度は Tet-offのvector (ROSAtTA)にAmyloid Precursor Protein (APP)swedish変異を導入したコンストラクトを作成した。 さらに我々はAD患者において75g OGTT試験の糖負荷後に血中βアミロイドの変動パターンが非AD患者と異なることを示した(Takeda, Sato, et al. Dementia and Geriatric Cognitive Disorders, 2012)。そこで短期的のみならず、長期的な高脂肪食負荷で血中βアミロイド値が変動するかを明らかにすることを目的としADモデルであるAPP/PS1マウスに6か月間の高脂肪食を負荷し、血中ベータ・アミロイド40および42の値をELISAにて測定を行った。その結果、APP/PS1マウスにおいて6か月の高脂肪食負荷は通常食に比し、血中ベータ・アミロイド40および42をともに増加させることが判明した。本年度の研究により長期的な高脂肪食負荷によっても血中ベータ・アミロイドが増加し得ることを示し、このことがADと糖尿病の相互病態修飾の機序の一因子である可能性を示唆することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は本年度は Tet-offのvector (ROSAtTA)にAmyloid Precursor Protein (APP)swedish変異を導入し、コンストラクトを構築した。また本年度の研究により短期的のみならず、長期的な高脂肪食負荷によっても血中βアミロイドが増加し得ることを示し、このことがアルツハイマー病と糖尿病の相互病態修飾の機序の一因子である可能性が示唆されたことから、おおむね順調に進展していると考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は Tet-offのvectorを用いて、 APPswedish変異を脳に特異的に発現させたマウスの作製を行う。マウスが完成すれば、in vivoで脳内ベータ・アミロイド量をコントロールすることにより、全身の糖代謝が変化するか、検討を行う。具体的にはAPP遺伝子発現がオンのときとオフのときの随時および空腹時の血糖値、インスリン値の測定、糖負荷試験、インスリン負荷試験を行う。また体重測定そしてメタボリックケージを用いた摂食・排泄・運動量の測定を行う。マウスの一個体においてAPP遺伝子発現がオンとオフの両者を比較可能なので、個体間のばらつきを排除できる。 さらに我々はADモデルマウスにおける長期間の高脂肪食負荷による血中ベータ・アミロイドの上昇を見出しており、ADと糖尿病の相互病態修飾の機序に関与している可能性を示唆している。本年度はこの血中のベータ・アミロイドがアルツハイマー病による糖尿病の病態修飾に関与するのかを明らかにする実験を推進する。現在、ベータ・アミロイドの産生を抑制する薬剤として ベータ・セクレターゼの阻害薬が入手可能である。この薬剤を(1)脳内に限局して、あるいは(2)全身に投与することにより、ベータ・アミロイドの抑制場所を変えることによって、全身の糖代謝に影響が出るかを検討する。 我々は中等度のAD患者において糖負荷後に血中ベータ・アミロイドが非AD患者に比べ、異なるパターンで変動することを示した。しかし、ADの診断が臨床診断であり、バイオマーカーを用いていない。現在、アミロイドPETと糖負荷後の血中ベータ・アミロイドの間に相関があるかどうかの臨床研究を進行中であり(現在4名)、本研究を推進していく。本研究の結果は糖負荷後の血中ベータ・アミロイドがヒトにおける糖尿病とADの相互的病態修飾機序の解明に必要であり、推進していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(11 results)