2012 Fiscal Year Research-status Report
セロトニン神経作用薬による筋萎縮性側索硬化症の新規治療法の開発
Project/Area Number |
24659431
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
浅沼 幹人 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (00273970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 育子 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (40335633)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / アストロサイト / セロトニン |
Research Abstract |
セロトニン神経作用薬としてbuspironeを用いる予定であったが,セロトニン1Aレセプターフルアゴニストの8-OH-DPATがアストロサイトでのグルタチオン,メタロチオネインの発現を最も増加させることを見いだした.したがって,本検討でのセロトニン神経作用薬として8-OH-DPATを用いることとした. (1)8-OH-DPAT前投与による筋萎縮性側索硬化症(ALS)の発症遅延効果,進行抑制効果の検討: (2)ALS発症後8-OH-DPAT投与による進行抑制効果の検討: Non-transgenic mice (nonTg), ヒトSOD1G93A mutant transgenic mice (G93A)を用いて,発症時期,生存期間,罹病期間,体重変化,rotarod test等による運動機能の変化を評価し,8-OH-DPAT投与開始時期を発症前投与では8週齢からとした.経時的(10週齢-16週齢)に,頸髄,胸髄,腰髄の切片を作成し,運動ニューロンの変性を免疫染色で確認した.また,運動症状が発現した時点からG93Aマウスへの8-OH-DPAT(0.1 mg/kg/日)腹腔内投与を行い,生存期間,罹病期間,運動機能の経時的評価を開始した. (3)初代培養神経障害に対する保護効果の検討: 神経アストロサイト共培養系において8-OH-DPAT処置が,酸化ストレスによる神経細胞死に対して保護効果を発揮すること,あらかじめ8-OH-DPATで処置したアストロサイトの培養液が酸化ストレスによる神経細胞死を有意に抑制し保護効果を有することを明らかにできた.さらに,その8-OH-DPATの神経保護効果は,アストロサイトのセロトニン1Aレセプターとそれに続く転写因子Nrf2の活性化を介する主にアストロサイトでのメタロチオネインの発現・放出によることも明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,セロトニン神経作用薬のなかでも,8-OH-DPATがアストロサイトの抗酸化機構に対して有意な賦活化作用を有し神経保護効果を発揮すること,さらにその保護効果のメカニズムを明らかにできた.また,筋萎縮性側索硬化症(ALS)のモデルマウスを用いて8-OH-DPATの発症遅延効果,進行抑制効果を評価する研究に先立ち,投与時期,投与量,評価法などを設定するための基礎検討を行い,モデルマウスへの投与実験を開始することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)のモデルマウスのヒトSOD1G93A mutant transgenic mice (G93A)を用いて,セロトニン1Aレセプターフルアゴニスト8-OH-DPATの発症前からの連日投与および発症後からの連日投与を行い,発症時期,生存期間,罹病期間,運動障害,脊髄運動神経の変性,アストロサイトの抗酸化分子およびグルタミン酸トランスポーターの発現変化を評価し,8-OH-DPATの発症遅延効果,進行抑制効果について検討する.また,G93Aマウス脊髄からの運動神経+アストロサイト共培養系を作製し,運動ニューロン細胞死に対する8-OH-DPATの保護効果を検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に行う予定にしていた培養実験を先に行ったために,動物実験に必要として計上していた経費の一部にあたる239,234円を次年度に使用することとなった.次年度平成25年度の請求研究費とあわせて,動物実験,培養実験のための消耗品費として使用する予定である.
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