2012 Fiscal Year Annual Research Report
細胞コンテナとモデル動物によるヒトiPS細胞由来脂肪細胞の細胞治療の研究
Project/Area Number |
24659444
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
細田 公則 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40271598)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 脂肪細胞 / iPS細胞 / 脂肪萎縮症 / 細胞治療 / ヌードマウス |
Research Abstract |
これまでに我々はin vitroでヒトiPS細胞から脂肪細胞への分化誘導を示した(FEBS Lett. 2009)。今回、ヒトiPS細胞由来脂肪細胞の詳細な脂肪細胞機能評価と細胞移植による生着及び維持に関する検討を行った。 ヒトiPS・ES細胞を胚様体形成を介してin vitroにて脂肪細胞への分化誘導を行った。ヒトiPS・ES細胞由来細胞は脂肪蓄積及び脂肪細胞関連遺伝子の発現を認め、フォルスコリン誘導性の脂肪分解反応、インスリン応答性等の脂肪細胞機能を持つことが示された。続いて分化誘導後、2×107個の細胞をヌードマウス背部皮下へ移植した。対照として未分化iPS細胞の移植も行った。組織学的解析により移植後1~4週において脂肪細胞様細胞の生着が認められた。さらにヒトvimentin抗体にてヒト細胞由来であることを示し、Oil Red O染色で脂肪滴の染色が認められた。脂肪細胞面積の定量的解析では2週で頂値を示し、移植後の脂肪細胞様細胞の増殖活性はほぼ認めらなかった。移植後1~4週の移植細胞においてPPARγ2, Leptinなどの脂肪細胞関連遺子の発現も認められた。ヒトiPS・ES細胞由来細胞の細胞移植後の生着効率に関しては細胞株間で差が認められた。一方、未分化iPS細胞の移植においては移植後1~4週においてneural tube様の強い増殖活性を持つ神経外胚葉細胞が認められた。移植細胞における未分化細胞の残存は奇形種形成を引き起こす可能性が示唆される。 本研究においてヒトiPS・ES細胞由来脂肪細胞が脂肪細胞機能を備え、移植後少なくとも4週間は生着することが明らかとなった。この分化誘導及び細胞移植系は疾患iPS細胞のin vitro, in vivoにおける病態解析に有用であり、さらに将来的な細胞治療への応用が期待される。
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