2012 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム解析による進化医学的証拠に基づく統合失調症の起源と病因に関する研究
Project/Area Number |
24659536
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
有波 忠雄 筑波大学, 医学医療系, 教授 (10212648)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 統合失調症 |
Research Abstract |
統合失調症はどの民族、人種にも比較的同じ頻度に発生しているが、動物には統合失調症は知られていない。それでは統合失調症はヒトの進化のどの過程で起こったのであろうか。本研究は、統合失調症の起源をとくに文明との関係に中心にゲノム解析データを利用して進化医学的観点から答えを出すことを目指す。そのために、今年度は自験データを中心に解析した。14例の統合失調症患者と32名のコントロールに対して、次世代シークエンサーによるエクソーム解析を行なって、統合失調症患者に多いゲノムの多様性や変異の特徴を統計的に把握した。その結果、比較的頻度の高い変異に関しては、有意に遺伝子頻度が0.5より大きいものが統合失調症群に多かった。これは、統合失調症抵抗性の変異がヒトの進化の過程で出現し、それが増えてきつつあることと解釈できる。また、多型頻度以下の稀な変異では、トータルとしては有意差はなかったが、統合失調症の候補遺伝子トップ300に絞ると、有意に統合失調症群に多く検出された。この結果は、新しい統合失調症のリスクになる変異が最近起こり、しかし、遺伝子頻度は小さいままにとどまっていることを示している。これらの結果は、当初の本研究の仮説である現代社会においては統合失調症は遺伝的に不利で、統合失調症になりにくいゲノム構成の人が増えつつあるが、その一方で突然変異により統合失調症のリスクを増大しようとする力が絶えず働いていること、のバランスになっていると解釈することができ、本研究の仮説と矛盾しない結果であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究に合ったエクソーム解析の解析法の改良に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
自験データを増やして、他の民族のデータと比較し、ヒトの進化の過程での統合失調症リスク遺伝子、防御遺伝子の多型、変異の情報から統合失調症と文化についての論文を提出する。また、統合失調症抵抗性に関わる遺伝子のデータから統合失調症抵抗性に関わるパスウエイを解析し、そのメカニズムについて考察する論文を発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし。
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