2013 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム解析による進化医学的証拠に基づく統合失調症の起源と病因に関する研究
Project/Area Number |
24659536
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
有波 忠雄 筑波大学, 医学医療系, 教授 (10212648)
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Keywords | 統合失調症 / 分子進化 |
Research Abstract |
統合失調症はどの民族、人種にも比較的同じ頻度に発生しているが、動物には統合失調症は知られていない。それでは統合失調症はヒトの進化のどの過程で起こったのであろうか。本研究は、統合失調症の起源をとくに文明との関係に中心にゲノム解析データを利用して進化医学的観点から答えを出すことを目指した。昨年度は自験データを中心に解析し、頻度の高いゲノム多様性に関しては統合失調症抵抗性の変異がヒトの進化の過程で出現し、それが増えてきつつある可能性と、稀な変異に関しては、新しい統合失調症のリスクになる変異が最近起こり、しかし、遺伝子頻度は小さいままにとどまっていることを示唆するデータを得た。今年度はゲノムワイド関連解析レベルにおいて有意に統合失調症と関連している多型に関して、遺伝子頻度の民族差、及び、ネアンデルタール人、デニソワ人の遺伝子型を比較して、分子進化学的解析を行った。その結果、統合失調症のリスクアレルはネアンデルタール人、デニソワ人では見られず、サハラ砂漠以南のアフリカ人では遺伝子頻度は低く、ヨーロッパ人、アジア人では遺伝子頻度が高い、という分布をとる多型がそうでない多型より有意に多かった。これらの結果は、統合失調症のリスクアレルは出アフリカ以降、何らかの理由で有利な形質と関連しており、正の選択を受けていることを支持している。本年度の解析の結果は、人の進化において何らかの有利な形質が同時に統合失調症のリスクになっていることを示唆していた。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] DPP6 as a candidate gene for neuroleptic-induced tardive dyskinesia.2013
Author(s)
Tanaka S, Syu A, Ishiguro H, Inada T, Horiuchi Y, Ishikawa M, Koga M, Noguchi E, Ozaki N, Someya T, Kakita A, Takahashi H, Nawa H, Arinami T.
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Journal Title
Pharmacogenomics J.
Volume: 13
Pages: 27 - 34
DOI
Peer Reviewed
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