2014 Fiscal Year Annual Research Report
放射線照射によるiPS細胞移植治療時の腫瘍発生抑制法の開発
Project/Area Number |
24659575
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
松村 耕治 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科共同利用研究施設, 講師 (30272610)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | iPS細胞 / 腫瘍 / 放射線照射 / 5FU / 温熱 / 分化誘導細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトiPS細胞(hiPSc)移植時の腫瘍発生抑制法を開発した。in vitroで分化誘導した心筋や神経細胞に対して、残存未分化細胞の除去のため放射線照射に加え、オレイン酸合成酵素阻害薬(SCDI)、抗癌剤5FUや42.5度の加温で解析した。 未分化hiPScの放射腺照射感受性は8G以上であり、薬剤感受性は、5FUを3 ug/ml以上で影響を受けた。SCDIでは、添加後もコロニーを形成した。加温は温度管理が困難であり、再現性に欠けた。分化誘導細胞に残存するフローサイトメーターによる未分化細胞の割合は、心筋分化誘導細胞のcontrolで平均2.19% 認められたが、5FU添加後は、1%以下と少ない割合を示し、分化抵抗性未分化細胞の割合が減少した。一方、分化誘導神経細胞においては、5FUの効果はみられなかった。 分化誘導hiPS細胞をSCIDマウス精巣に移植すると、control群は一部の検体で精巣が肥大して、組織学的に正常な形の精細管は消失し未分化細胞で占められた。一方、放射線照射、5FUにより腫瘍様細胞による精巣肥大が有意に抑制された。 本実験系において、SCIDマスウ移植で腫瘍が発症するための未分化細胞の残存数を解析した。すなわち、マウスの精巣腫大のみられた実験群は、100万個の移植分化誘導細胞中の未分化細胞は平均1.2%、12,000個以上であった。未分化細胞のみを精巣へ移植した場合、 5,000~5万個以上で腫瘍様細胞が発生した。したがって、未分化細胞の残存数は約12,000細胞数以上で腫瘍様細胞の増殖が認められると考えられた。 以上より、hiPS細胞移植において、移植前にin vitroで8Gy以上の放射腺照射や5FU添加することで未分化細胞の除去が示唆された。これは、心筋などの分化誘導細胞の移植にあたり、移植後の腫瘍発生を抑制するための方法に利用できると考えられた。
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