2012 Fiscal Year Research-status Report
下垂体瀘胞星細胞を用いたモデルラットの脊髄損傷再生治療
Project/Area Number |
24659681
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
和田 郁雄 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70182970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若林 健二郎 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20418867)
佐久間 英輔 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90295585)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 体性幹細胞 / 下垂体 / 電気生理学 / 細胞移植 / 脊髄損傷 / 細胞間連絡 / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
電気生理学的・形態学的手法を用いた細胞間連絡の確認法:培養下垂体細胞塊を1mmx2mmの開窓部を持ったシルガードシリコンプレート(Dow Corning Co.,Midland, MI, USA)に固定して組織の部分を底面としてこれを0.5mlのレコード用チャンバーの底部にセットする、このチャンバーは還流液(Na+:137.4, K+:5.9, Ca2+:2.5, Mg2+:1.2, HCO3-:15.5, H2PO4-:1.2, Cl-:134, Glucose:11.5 (mM); aerated with 95%O2 and 5%CO2; Ph:7.2-7.3)を還流する。チャンバーは倒立型顕微鏡(Nikon IX-70, Tokyo, Japan)にセットされる。電気生理学的検査には2本のガラス電極を用いる。2本のガラス電極を組織塊に試入しこれを電極に接続した入力インピーダンスアンプ(Axoclamp-2B, Axon Instruments, Inc., Foster City, California, USA)にて計測しカソードレイオシロスコープ(SS-7602, Iwatsu, Osaka, Japan)にて表示、同時に計測値はパーソナルコンピューター(ME/358, Fujitsu, Japan)に保存して解析ソフトにて分析する。また、これと同じチャンバーを用いて、Fura2を用いた、Ca発光を掲示的に計測、分析する。以上に加えて、透過型電子顕微鏡を用いて、形態学的な観測を加えた(和田、佐久間、若林担当)。これらを基にした、研究を2報発表した。 ①Endocrinology. 2013 154(1):400-9. ②Microsc Res Tech. 2012 75(12):1632-8.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2本のガラス電極を用いた電気生理学的研究、Fura2を用いた、Ca発光を掲示的に画像的に分析する仕事、透過型電子顕微鏡を用いた超微形態学的な研究。これらの3つの基礎的な研究を通して電気生理学的 & 免疫組織化学的手法及び透過型電子顕微鏡を用いて細胞種と細胞内局在に注目した手技を用いて、下垂体前葉内において体性幹細胞の一種と考えられているのは下垂体濾胞星細胞と呼ばれている無顆粒で神経膠細胞との共通点についても、多くの報告がある細胞種についての細胞種と細胞内局在に注目した手技を用いてのさらなる検討を行った。Fura2を用いたCa発光の計時的観測を進化させて、2本のガラス電極を用いた電気生理学的研究と合わせて、Intercellular communication within the rat anterior pituitary gland. XV. Properties of spontaneous and LHRH-induced Ca2+ transients in the transitional zone of the rat anterior pituitary in situ.の表題名でEndocrinology. 2013 154(1):400-9.に発表出来た。又、電子顕微鏡を用いた超微形態学的な研究成果についてはInvolvement of the adrenal glands and testis in gap junction formation via testosterone within the male rat anterior pituitary gland.の表題名でMicrosc Res Tech. 2012 75(12):1632-8.に発表出来た。おおむね当初の計画に沿った研究・発表が出来ていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、下垂体の細胞移植を行う為の実験準備・予備実験を行っている。成体の組織中に存在している幹細胞を総称して“体性幹細胞”と呼んでいる。体性幹細胞については、レシピエント自身から得る場合には拒絶反応の恐れが無く、また倫理的問題もほとんど生じない利点がある。その為にはCNTFの持続的投与下の腎被膜下移植をした下垂体組織内の濾胞星細胞間のギャップジャンクションの維持とそれに伴う濾胞星細胞の正常機能の保存が研究の中心点となる。研究方法としては従来用いてきたのと同様な装置を用いて電気生理学的 & 免疫組織化学的手法及び透過型電子顕微鏡を用いて細胞種と細胞内局在に注目した手技を用いていく。急性脊髄損傷に対する初期段階での脊髄再生治療に、下垂体濾胞星細胞を応用し、さらに非開頭法(transsphenoidal approach)を用いて採取した下垂体組織を腎被膜下移植しこれに毛様体神経栄養因子(CNTF)を皮下に挿入したリザーバーから持続投与して細胞移植に適切な状態を得ることである。なおこの腎被膜下移植下垂体細胞塊を用いる実験には、ラットの皮下に埋め込み可能な大きさの小型の浸透圧ポンプ(Mini-Osmotic Pump;Model2001:1.0μl per hour,7days: 米国ALZET社製)を用いてラットの行動を自由に保ったままおこなっている。腎被膜下移植は高度なレベルの設備や技術を必要とせずまた浸透圧ポンプの使用は実験条件での動物の行動を抑制しないメリットがある。現在までに予備実験で行ったヘミセクショングループ(部分脊損)では下垂体濾胞星細胞移植による良好な成績が認められているが、トランスセクショングループ(全脊損)では個体間のデータ-のばらつきが大きく今後例数を増やしてさらに検討を加えていく予定である(和田、佐久間、若林担当)。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
動物実験を含む研究として、名古屋市立大学大学院医学研究科・実験動物研究教育センターでの動物実験を計画し、実施する前に、動物の飼育、管理、実験、動物の麻酔、処理方法などについて、日本実験動物学会の「動物実験に関する指針」の主旨にのっとり、科学的及び動物愛護の観点から名古屋市立大学動物実験規程(平成21年4月1に改定実施)に基づいて、名古屋市立大学動物実験委員会(名古屋市立大学動物実験規程第8条に基づき組織、運営されている)の厳正な審査、承認を受けて実験を行っている(承認番号:H24M-21)。行動生理学実験,免疫組織学的検索に必要な機器、設備、施設は全て現在所属している機関に存在しており、新規に設備備品を要求する予定は無い。今後の研究活動には、消耗品として、各種試薬、抗体等の購入のための経費が必要である。また、謝金は発生しない。国内の学会発表のために一部の経費を旅費として申請している。以上、経費の内容、算出額は妥当なものと考えている。以上、経費の内容、算出額は妥当なものと考えている。
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