2013 Fiscal Year Research-status Report
下垂体瀘胞星細胞を用いたモデルラットの脊髄損傷再生治療
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24659681
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
和田 郁雄 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70182970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若林 健二郎 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20418867)
佐久間 英輔 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90295585)
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Keywords | 再生医学 / 脊髄損傷 / 下垂体 |
Research Abstract |
この研究の目的は急性脊髄損傷に対する初期段階での脊髄再生治療に、下垂体前葉内において体性幹細胞の一種と考えられている下垂体濾胞星細胞と呼ばれている細胞種を応用し、さらに非開頭法(transsphenoidal approach)を用いて採取した下垂体組織を腎被膜下移植しこれに毛様体神経栄養因子(CNTF)を皮下に挿入したリザーバーから持続投与して細胞移植に適切な状態を得るという、簡便かつ緊急手術に応用可能な方法を開発する基礎研究を行う事である。ギャップジャンクションの成熟遅延を生じた際に濾胞星細胞が線毛の増殖という形で機能的合胞体としての細胞間の内部環境の均一性保持の障害を引き起こす事を発見して文献発表した(Wada, Sakuma, Wakabayasi et al., Microsc Res Tech: 2012; 75(12):1632-8, Wada et al., Endocrinology: 2013; 154(1): 400-9)。ギャップジャンクションで機能的合胞体を形成した濾胞星細胞は結合していない場合よりも周辺細胞の支持・栄養、清掃細胞機能、細胞更新系としての幹細胞機能が高い事を発見して文献発表した(Wada, Sakuma, Wakabayasi et al., Tissue Cell: 2014 46(1):33-9) また、飽食因子として発見されたレプチンが濾胞星細胞間のギャップジャンクションの成熟と維持にはプラスの作用を持っていることを、レプチンの機能的受容体であるOb-Rbがミスセンスミューテェーションによる機能不全を生じているZucker fatty (fa/fa)ラットを用いてを発見して文献発表した (Wada, Sakuma, Wakabayasi et al., Microsc Res Tech: 2014 in press)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
下垂体の移植に関する基礎的研究として各種の組織学的手段を用いた研究結果から下垂体内分泌系への各種の作用発現がギャップジャンクションで機能的合胞体を形成した濾胞星細胞を介した情報伝達を介している可能性に注目している。最近の研究発表では、濾胞星細胞間のギャップジャンクションの成熟と維持には精巣、副腎の両臓器から分泌される性ホルモンが関与しており、これはオスの場合テストステロンであることを発見した(Microsc Res Tech. 2012)。また、飽食因子として発見されたレプチンが濾胞星細胞間のギャップジャンクションの成熟と維持にはプラスの作用を持っていることを、レプチンの機能的受容体であるOb-Rbがミスセンスミューテェーションによる機能不全を生じているZucker fatty (fa/fa)ラットを用いて検討した(Microsc Res Tech. 2014)。この2つの研究から、濾胞星細胞間のギャップジャンクションの成熟と維持はテストステロンとレプチンの2系統の制御因子でコントロールされて安定化している事を明らかに出来た。一方、下垂体茎部での濾胞星細胞間のギャップジャンクションの形成が、S-100蛋白の染色性の増加と並行して15日齢から始まり30~40日齢で完成するのに対して、LH-RHニューロンの下垂体茎部への侵入はその後60日齢において生じることを免疫組織学的に証明した(Tissue Cell. 2014)。このことは、我々が注目してきた下垂体門脈系以外にギャップジャンクションで機能的合胞体を形成した濾胞星細胞が性腺刺激ホルモンの放出促進作用を持っているという説について、新しく、濾胞星細胞間のギャップジャンクションによる細胞間連絡の完成は比較的初期に完成し、そこへの下垂体茎部でのLH-RHニューロンによる刺激の流入は比較的後期に起きることを証明出来ました。
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Strategy for Future Research Activity |
下垂体茎部での濾胞星細胞間のギャップジャンクションの形成が、S-100蛋白の染色性の増加と並行して15日齢から始まり30~40日齢で完成するのに対して、LH-RHニューロンの下垂体茎部への侵入はその後60日齢において生じることを免疫組織学的に証明した(Tissue Cell. 2014)論文では、併せてトランスジェニックS-100b GFPラットの下垂体培養細胞で濾胞星細胞には本質的にギャップジャンクションの形成能がある事を証明しています。 このトランスジェニックS-100b GFPラットは埼玉大学の井上教授が開発し、現在、自治医科大学の屋代教授のラボで飼育、系統維持されている、昨年から自治医科大学の方からこのラットの資料を分与してもらい現在、濾胞星細胞間のギャップジャンクションの形成と濾胞星細胞から分泌されるサイトカインンの同定を研究中である。これらの結果について、得られた結果を取りまとめ、成果の発表を行う。 脊髄損傷モデルの回復の機能的評価としては、後肢を中心とした運動能力と持久力の検査としてAccelerating Rotarod Tredmill(7750.Ugo Basil, Italy)を用い、後肢の知覚レベルと巧朽動作の検査としてGrid Walking Test(Protocol described by Kunkel-Bagden)に基づいたビデオ記録による後肢の踏み外しのダブルブラインドテストを採用して、後肢の運動及び知覚の機能評価を行っている。予備実験で行ったヘミセクショングループ(部分脊損)では下垂体濾胞星細胞移植による良好な成績が認められているが、トランスセクショングループ(全脊損)については現在、検討中である。この各々について、得られた結果を取りまとめ、成果の発表を行う。
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Research Products
(3 results)