2012 Fiscal Year Research-status Report
神経障害性疼痛におけるDRG遺伝子発現の新規制御因子
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24659688
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
野口 光一 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10212127)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 神経障害性疼痛 / 炎症性疼痛 / 後根神経節 / DRG / Artemin / 痛覚過敏 |
Research Abstract |
神経障害性疼痛において極めて重要な役割を果たしているDRGニューロンの遺伝子発現の新規制御因子を解明することが目的であり、特に従来報告されているNGF、GDNF以外でGDNFファミリーのArteminが神経障害性疼痛メカニズムとしてペインセンサー分子 TRPV1/ TRPA1の重要な制御因子であることをin vivo実験系で証明することを目指している。現時点では、1. Arteminが神経障害時に損傷神経で実際に増加していることを確認した。しかしながらArteminの末梢神経自身での増加は末梢炎症による組織での増加と同じであり、炎症時の詳細も解明されていないことより、まず炎症モデルでの詳細を解明しその後もしくは同時に神経障害時の動態を報告することに方針を決定した。 2. DRGにおいてTRPV1やA1の発現は、Arteminの受容体であるGFRα3と高い共存率を示すこと、及びラット足底にCFAを注射した末梢組織炎症時のArteminnの発現動態を詳細に検討した。その結果NGFは炎症後1日をピークに短時間で減少するのに対して、Arteminは1週間以上継続する長い時間経過を示し持続痛への関与が示唆された。3. CFAにより末梢組織のin situ ハイブリダイゼーション法によりArteminは皮膚の表皮層及び真皮層で発現しており、特に表皮層においてはケラチノサイトと思われる細胞で発現していた。4. Areteminをラット足底皮下に投与すると機械的刺激及び熱刺激に対する痛覚過敏反応を惹起することがわかった。5. ラット足底にArteminを投与するとDRGにおけるTRPV1及びA1発現が増加することがRT-PCR法及びin situ ハイブリダイゼーション法にて証明された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで当初の計画とは多少の方向転換はあるものの、データの蓄積は予定以上のものがある。 上記に記載したように、神経障害時の末梢神経や脊髄神経におけるArteminの測定の結果、その発現増加が証明されたが、その詳細なメカニズムを検討する中で、炎症時の動態の解明が不十分であることと本質的に炎症時の動態と同じであることより、まず炎症時について詳細に検討していくことになった。 その後は上記に記したデータは順調に獲得できていることより、おおむね順調であると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
以下に記す内容について実験を進め、論文作成にむけてデータをまとめる予定である。 1)後根神経節(DRG)の培養系におけるTRPV1及びTRPA!発現に対する Arteminの効果を検討する。2)DRG細胞のカルシウムイメージング法を用いてカプサイシン投与時のCa濃度の変化(TRPV1の反応)及びAITC投与時のカルシウム濃度の変化(TRPA1の反応)に対する、Arteminの効果を検討する。3)DRGのTRPV1/A1発現はp38MAPKが関与していることは過去の論文により証明されているので、末梢組織へのArtemin投与によりDRGニューロンにおいてp38のリン酸化がどのように変化するか、p38の阻害剤投与によりArteminの投与によるDRGでのTRPV1/A1発現の変化、さらにp38の投与によりArteminの末梢組織投与時の痛覚過敏が抑制されるか否かを検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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[Journal Article] Potentiation of the P2X3 ATP receptor by PAR-2 in rat DRG neurons, through protein kinase-dependent mechanisms, contributes to inflammatory pain2012
Author(s)
Wang S, Dai Y, Kobayashi K, Zhu W, Kogure Y, Yamanaka H, Wan Y, Zhang W, Noguchi K
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Journal Title
Eur J Neurosci
Volume: 36
Pages: 2293-301
DOI
Peer Reviewed
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