2013 Fiscal Year Research-status Report
ヒト臍帯血幹細胞の機能解析と脳性麻痺治療への臨床応用
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24659733
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
前田 長正 高知大学, 教育研究部医療学系, 准教授 (60229309)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沈 淵 高知大学, 教育研究部医療学系, 講師 (50294830)
都留 英美 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (70380318)
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Keywords | 臍帯血 / 幹細胞 / 脳性麻痺 |
Research Abstract |
小児脳性麻痺は一旦発症すると、生涯にわたり身体・精神の機能およびQOL(生活の質)を著しく損なう疾患である。しかし、脳症に対する根本的な療法はなく、リハビリテーション等の対症療法を行っているのが現状である。現在、我々は、小児脳性麻痺の発生確率が高い在胎週数33週未満児を対象に、自己臍帯血幹細胞輸血による臨床研究を進めているが、このような早産児から採取された臍帯血については、治療効果の高い幹細胞の含有数や機能など明らかにされていない。25年度は、治療効果の高いと考えられる幹細胞の未分化性を維持したまま増殖させる新たな培養方法の検討を行った。 これまでに報告されてきた培養方法に倣い、臍帯血幹細胞の培養を行った。結果、幹細胞の増殖は認められず、従来の方法では臍帯血幹細胞の培養を行うことはできなかった。 そこで、ヒトES細胞などの多能性幹細胞で用いられているフィーダーフリー培養方法に倣い、臍帯血幹細胞の培養を行った。結果、多数の細胞塊の出現が認められた。また、この細胞塊を未分化細胞マーカー抗体(SSEA-4)で染色した結果、陽性であることが明らかとなった。さらに、qPCRを用いて未分化遺伝子マーカー発現解析を行った結果、Sox2の高い発現が認められた。フィーダーフリー培養法を用いることで、未分化性を維持したまま臍帯血幹細胞の培養を行うことが可能となった。 更に、フィーダーフリー培養による細胞癌化への影響を明らかにするため、qPCRを用いてガン遺伝子発現解析を行った。結果、培養後の臍帯血幹細胞について、ガン遺伝子発現の誘導は認められなかった。フィーダーフリー培養によって得られた臍帯血幹細胞は、癌化する可能性は低く、極めて安全性の高い細胞材料であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度と25年度の2年間で臍帯血幹細胞に関する基礎的研究の実施を計画した。24年度に明らかにした臍帯血幹細胞について、25年度は、未分化維持培養を行うことに成功し、再生医療にも応用可能な安全性の高い培養法であることを示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度年度にできなかった、単一の臍帯血特有の幹細胞の単離およびクローン化を目指す。さらに、未分化維持培養の結果得られた幹細胞の機能解析として、試験管内での分化能評価を行う。 臨床権研究としては、現在、高知大学医学部において、脳性麻痺の発症が疑われる子からは自己臍帯血幹細胞の採取が行われている。実際に脳性麻痺を発症した子に対し自己臍帯血幹細胞による細胞治療が実施された場合においては、包括的評価を行っていく予定である。
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Research Products
(1 results)