2012 Fiscal Year Research-status Report
ヒト眼組織由来iPS細胞の樹立・機能解析と新規診断・治療システムの開発
Project/Area Number |
24659770
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
東 範行 独立行政法人国立成育医療研究センター, 眼科, 医長 (10159395)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅澤 明弘 独立行政法人国立成育医療研究センター, その他部局等, 部長 (70213486)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 再生医学 / 遺伝学 / 遺伝子・細胞治療 / 角膜 / 網膜 |
Research Abstract |
ヒト皮膚由来iPS細胞および昨年度に作成したヒト虹彩由来細胞を用い、眼組織の誘導を検討した。G-MEM培地に20% KSR、0.1 mM nonessential amino acids、1 mM pyruvate、0.1 mM 2-mercaptoethanol、100 U/ml penicillin、100 μg/ml streptomycin、3uM IWR1e、 20 uM Y-27632、1% Matrigelを加えて培養した。Day24から上記の条件に、10% FBS、0.5 μM retinoic acid、0.25 μg/ml Fungizone、100 U/ml penicillin、100 μg/ml streptomycinを加えた。いずれの細胞でも、培養18日~30日で、浮遊細胞塊embryoid bodyの表面から眼胞様の突出構造が、さまざまな大きさで形成された。この部分では、RT-PCRや免疫染色によって、初期発生の眼組織に特有なPax6,やRx遺伝子が発現していた。これをさらに培養すると、不完全ながらも神経網膜や網膜色素上皮が形成された。角膜や水晶体で特異的に発現する遺伝子は、現在のところ検出されていない。今後は、培養条件を変えて、より完全な形態と機能をもつ、さまざまな種類の網膜細胞を安定して形成する研究を行う予定である。また、網膜のみならず、これまで行ってきた角膜細胞の再生、シート化に関する研究も進める。 疾患iPS細胞としては、網膜芽細胞腫、Peters奇形の患者由来の細胞を既に作成し、現在は無虹彩の作成を準備している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、我々が作成したヒトの皮膚と虹彩、網膜由来のiPS細胞は、メチル化解析からES細胞に近い分化能をもつことを明らかになり、核型に異常はないことが示されている。本年度はこれらのiPS細胞の特性を十分に用いて、外部から遺伝子を導入することなく、自発的に初期眼球発生や神経網膜と色素上皮への分化が起こることを示す成果が得られた。形成された細胞はいまだ不完全であるが、今後条件を変えることによって、より完全な形態をもつ細胞・組織を形成できる可能性がある。これらは、再生医療に向かう一歩であり、また疾患iPS細胞と比較すれば、疾患の発生機転の研究に通ずる。
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Strategy for Future Research Activity |
iPS細胞から初期眼胞、不完全ながら神経網膜と色素上皮を形成できることが示されたので、エピゲノムが作成目的組織にちかい虹彩・網膜由来iPS細胞を用いて、自発発現誘導によって、さらに再生医療に適した完成度の高い網膜細胞の形成を目指す。 具体的には、MatrigelやFBSを中心とする添加物を変え、眼胞様突出構造を切除して別に培養する。その場合、酸素濃度等の環境を変化させる。さらに、これらin vitro実験に加えて、免疫不全動物に移植するin vivo環境での分化も検討する。網膜においては、発生の後期に形成が完了する視細胞よりは、早期に分化する神経節細胞を優先して研究する。また、網膜組織に限らず、角膜ことに表層外胚葉由来の上皮細胞の形成を検討する。 疾患iPS細胞では、形態形成遺伝子の変異による無虹彩等の患者由来細胞を用いて作成する。これらの眼細胞再生、移植実験によって、さまざまな病的状態における組織再生の違いを比較検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞培養のための試薬・器具、遺伝子解析用試薬を購入するため。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Ophthalmic features of CHARGE syndrome with CHD7 mutations2012
Author(s)
Nishina S, Kosaki R, Yagihashi T, Azuma N, Okamoto N, Hatsukawa Y, Kurosawa K, Yamane T, Mizuno S, Tsuzuki K, Kosaki K
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Journal Title
Am J Med Genet A
Volume: 158A(3)
Pages: 514-518
DOI
Peer Reviewed
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