2013 Fiscal Year Research-status Report
対面積効果の高い皮膚移植法(微細立方体皮膚移植法)の開発に関する研究
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24659778
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
漆舘 聡志 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80321967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横井 克憲 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00271809)
三上 誠 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30396402)
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Keywords | 皮膚移植術 / 熱傷 / 皮膚潰瘍 / 創傷治癒 |
Research Abstract |
これまでの実験にて、微細立方体皮膚移植を施行したところ表裏いずれが母床側であっても生着することが確認された。また表裏いずれが母床側であっても生着までの日数に差がないことが示唆された。更には移植皮膚片の表皮部分からのみならず、真皮部分に存在する皮膚付属器からも上皮化が進行することが示唆された。また生着には湿潤環境が重要でありフィルムドレッシングが有用であると考えられた。しかしこれまでの実験では瘢痕拘縮が高度であるため上皮化の速度、創治癒の速度を比較することは困難であり、瘢痕拘縮を抑制する実験モデルの開発が新たな課題としてあげられた。そのため平成25年度の実験計画を一部変更し、まずは瘢痕拘縮を抑制する新たな実験モデルを検討することとした。 ラットの背部に皮膚欠損部を作成したのち、瘢痕拘縮にて創部が縮小しないように拘縮に対抗するフレームを創縁に装着することとした。フレームの形状、固定法を変え瘢痕拘縮を抑制できるか経時的に観察した。瘢痕拘縮の力を完全に抑制することは非常に困難であったが、最終的には両面ハトメ(靴・衣類・紙などに紐を通す穴に取り付ける環状の金具)を用いることで3週間瘢痕拘縮を抑制することに成功した。これにより今後のラットにおける創傷治癒関連の実験にて簡便に瘢痕拘縮を排除したうえでの結果の検討が可能になると考えられる。また本実験モデルは同一ラットの背部に2箇所皮膚潰瘍を作成することができるため、比較実験にも適している。今後固定方法による違い、各種薬剤の併用による違いを検証する際にも有用であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
微細立方体皮膚移植にて移植皮膚片の生着が確認できた。また、立方体である本法の移植皮膚片のどの面が移植床に接しているかにかかわらずに生着することが確認された。また移植後のドレッシングとしてフィルムドレッシングによる湿潤環境での管理が有効であることが確認された。 また移植皮膚片の上皮化の速度を比較するために必要な、瘢痕拘縮を抑制した皮膚潰瘍モデルの作成に成功した。これにより種々の条件下での上皮化速度の比較検討が可能となり、今後の実験遂行において有用な成果であった。 しかしながら、瘢痕拘縮抑制モデルの作成は予想以上に困難であり、開発に難渋した。これにより移植皮膚片のフィブリン糊による固定、b-FGFの併用実験に遅れが出た。 皮膚の細分化は採皮用カミソリによる手作業により可能であったが、手技が煩雑で機械化が必要であると考えられた。現在企業との共同開発のための準備をすすめている段階である。 以上よりH25年度の実験計画に対する達成度はやや遅れているものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
H24~25年度の実験により、微細立方体皮膚移植術が湿潤環境にて生着が得られることが確認された。また今後、生着により有利に働く条件や、速やかな上皮化が得られる管理方法などを検討するうえで不可欠な瘢痕拘縮の抑制方法も開発した。これらにより今後、移植皮膚片の大きさの検討、移植後の被覆方法の検討、b-FGFの影響の検討、人工真皮同時移植の影響などの検討が可能となる。 また微細立方体移植における皮膚付属器からの上皮化についても検討したい。もし表皮からだけでなく皮膚付属器からも上皮化が見られるのであれば上皮化の起点として微細立方体皮膚移植術が非常に有効であることが証明できる。 また本大学倫理委員会の承認のもと臨床において本法の有用性につき検討を開始したい。まずは皮膚採皮部位の犠牲の少ない褥瘡潰瘍のポケット部分から採皮した微細立方体皮膚移植術を褥瘡潰瘍に施行し、その有用性を検証したい。 更には皮膚細分化の器械化のため企業との討論を重ねて具体化、製品化を進めていきたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
調達方法を工夫して当初の計画よりも安く購入できたため。 余剰金は実験器材の購入を見込んだものであり翌年度の実験機材購入に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)