2012 Fiscal Year Research-status Report
膜修復制御分子による骨吸収制御:前破骨細胞特異的膜融合における膜修復イメージング
Project/Area Number |
24659816
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
久木田 敏夫 九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (70150464)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久木田 明子 佐賀大学, 医学部, 准教授 (30153266)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 破骨細胞 / 膜修復 / アポトーシス / 細胞分化 / 膜融合 |
Research Abstract |
筋細胞の細胞膜が障害を受けた際、「膜修復分子」による速やかな細胞膜の修復が起る。MG53等の膜修復分子により障害部位に集積された小胞が細胞膜と融合することにより膜修復が行われる。破骨細胞は前駆細胞どうしの細胞膜融合により形成されるが、基本的な膜修復機構の裏打ちがあってはじめてスムーズで安全な融合が起るものと考えられる。 本研究では膜修復制御分子の破骨細胞分化における動態を蛍光イメージング法を用いて可視化するとともに、破骨細胞分化において発現する膜修復制御分子MG53のアナローグを同定し、前駆細胞間の「膜融合」に「膜修復」制御分子が関わっていることを明らかにすることを目的とした。 リアルタイムPCR法により破骨前駆細胞であるRAW-D細胞を用いて破骨細胞分化に伴うMG53の発現について検討した。RANKL刺激前でもMG53の低レベルの発現が認められた。破骨細胞分化因子であるRNAKL,TNFαで分化刺激を加えると発現が劇的に低下する傾向が認められた。しかしながら分化刺激が無い条件下でも培養を続けると発現が低下する傾向があったので詳細な検討を要する。MG53では無く破骨細胞に特有のアナログ分子が膜修復を制御する可能性があるので、現在、PCRクローニング法によるMG53アナログ分子の検索を行っている。MG53の破骨前駆細胞における発現レベルが低いことから、膜修復分子の破骨細胞分化に伴うイメージングを行うことはできなかった。膜融合に伴う膜修復過程の電子顕微鏡による形態学的解析により、膜ナノチューブを介した前駆細胞間の活発な相互作用が認められた。ナノチューブの迅速な形成と消失にも膜修復関連分子が関与するものと考えられる。破骨細胞分化に特異的な膜修復分子が見つかれば新規な骨破壊制御が可能になるものと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
蛍光色素を標識した前駆細胞の破骨細胞分化に伴う膜修復の動的解析:膜脂質結合性蛍光色素DiD(DiI,DiO)を用いて破骨前駆細胞の膜表面を標識し、破骨細胞分化因子を添加後、経時的に観察し、融合が盛んになる培養2日目からタイムラプス解析を行ない、蛍光標識された細胞膜表面及び細胞膜直下に集積した小胞の動態を詳細に観測し、破骨細胞分化に伴う膜修復機構の存在を確認する。蛍光顕微鏡によるタイムラプス解析を行い、膜ナノチューブを介する活発な相互作用を確認した。破骨細胞の前駆細胞における膜修復分MG53の発現レベルが低かった為、破骨細胞分化におけるMG53の機能の解析には至らなかった。アナローグ分子のクローニンが遅れており、本研究の達成度は25%ほどであった。 膜修復分子MG53の破骨細胞分化における発現が低かったので、破骨細胞に特有の分子が存在することが予測できるが、本研究計画の研究期間中にMG53という筋細胞の膜の破綻を抑制する分子を特定することができなかった。膜修復過程における膜修復制御分子の動態イメージングに関しても分子が特定できないことから進めることができず、この項目について、達成度は5%のみであった。膜融合に伴う膜修復の電子顕微鏡による形態学的解析では、上記蛍光色素による解析で膜修復が高頻度で検出された条件下で破骨前駆細胞を培養し、凍結置換法後金粒子によるコーティングを行ないSEMにより解析したところ、多数の膜ナノチューブが観察された。現在のところ、膜修復についての詳細な観察が不足しており、研究機関終了後も解析を継続中である。
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Strategy for Future Research Activity |
破骨細胞で発現する膜修復分子MG53ホモローグの検索及び同定については研究期間終了後も運営交付金等で継続する予定である。 膜修復をMG53ホモローグ分子の破骨細胞分化に伴う発現解析を行なう。破骨前駆細胞株RAW-D細胞にMG53遺伝子を過剰発現させ、破骨細胞分化への効果を見ることと、膜修復分子の生の破骨細胞におけるイメージングが必須であるが、破骨細胞特有の膜修復分子を特定することは研究期間中に達成することはできなかったので、他の研究資金を用いて継続して行く予定である。融合制御分子であるDC-STAMP(Kukita et al. J.Exp.Med 2004)等との関与についても継続的に研究を進めていく。最終的にインパクトファクターの高いジャーナルへの投稿を計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上述したように、本研究計画の内、平成24年度に達成できなかった項目については継続して研究を行う為、分子生物学試薬、免疫学試薬及び実験動物等の消耗品購入費用として研究費を用いる計画である。研究費を継続して用いる項目は次の通りである。1)膜修復をMG53ホモローグ分子の破骨細胞分化に伴う発現解析。2)MG53遺伝子の過剰発現解析。3)膜修復分子の生の破骨細胞におけるイメージング。
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Research Products
(5 results)