2014 Fiscal Year Research-status Report
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24659890
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
阪井 丘芳 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (90379082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野原 幹司 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (20346167)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 口蓋裂 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、口蓋癒合の分子機構を明らかにし、新しい口蓋裂治療法と予防法を確立することを目的とする。先行研究では、胎仔マウス口蓋形成をモデルとして用い、口蓋癒合時に口蓋突起に著しく発現する遺伝子群を同定した。このデータを有効に活用して、口蓋癒合時に発現が変化する遺伝子を中心に機能解析し、治療へのアプローチを探索している。将来的には、口蓋癒合のメカニズムを明らかにして、新しい治療法の開発へ応用していきたい。 唇顎口蓋裂とは、口唇、歯槽部、口蓋などの口腔顎顔面領域に披裂を生じる先天異常であり、遺伝的要因と環境的要因の両者が複雑に関係していると言われている。代表研究者らは、大阪大学歯学部附属病院にて唇顎口蓋裂患者の一環治療を行っている。現在のところ、患者に対して、手術を行う治療法が主体である。新しい治療法が期待されているが、未だに発展していないのが現状である。 口蓋の発生機序は両側の上顎突起より口蓋突起が発生し、癒合する際に、口蓋板の成長と水平転移または挙上、上皮細胞の接着と自己分解、間葉の癒合という段階を経ると言われているが、このうちのいずれかで障害が起こると口蓋裂が発生する。先行研究では、胎仔マウスをモデルとして用い、口蓋癒合時に口蓋突起に著しく発現する遺伝子群を同定した。本研究では、このデータベースを活用して、口蓋癒合のメカニズムを明らかにし、組織工学的に口蓋閉鎖をはかる、新しい口蓋裂治療法・予防法を探究することを目的としている。 マウス口蓋の器官培養モデルを用いて、現在、口蓋癒合に関わる遺伝子を網羅的に同定し、機能評価を試みている。既知の口蓋癒合に関わる遺伝子と対比しながら、そのメカニズムを明らかにし、器官培養を用いた遺伝子導入実験により、新しい治療モデルの開発を試みていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1.口蓋閉鎖に関わる遺伝子のスクリーニング 口蓋上皮から、閉鎖の初期段階に関する遺伝子を発見するために、胎生13日目のマウス胎児上顎を器官培養した。①口蓋突起が接近した段階(癒合前)、②口蓋突起が癒合している段階(癒合中)、③口蓋突起が癒合した段階(癒合後)で、上顎の組織切片を作製し、レーザーマイクロダイセクションを行い、細胞を採取した。マイクロアレーを用いて、それぞれ口蓋突起癒合時期における口蓋突起上皮に発現する遺伝子のプロファイルを作成した。遺伝子プロファイルをもとに、癒合中、癒合後に著しく発現が亢進する遺伝子を中心にリストアップしているが、膨大なデータであり、絞り込むのに苦慮しているため、時間を要している。 2.口蓋突起上皮に特異的に発現する遺伝子の発現量確認 リストアップした遺伝子を中心に、RT-PCR法でmRNAレベルでの発現を確認しているところである。膨大な数の遺伝子が存在するため、口蓋閉鎖に関与する可能性のある遺伝子を網羅的に検索していきたい。一部の遺伝子に関して、機能阻害抗体やsiRNAを用いたノックダウン実験を開始している。遺伝子の数が膨大であり、少しずつフォーカスをしぼりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
1.口蓋閉鎖に関わる遺伝子のスクリーニング、および、口蓋突起上皮に特異的に発現する遺伝子の発現量確認を継続する。癒合時に強く発現する遺伝子を中心に、PROSITEを用いてタンパク質構造を推測し、RT-PCR法でmRNAレベルでの発現を確認する。できるだけ、口蓋閉鎖に関与する可能性のある遺伝子を網羅的に検索したい。 2.口蓋突起癒合部に特異的に発現する遺伝子の発現分布確認を解析する。口蓋突起癒合期(経時的)における発現分布を確認し、組織学的に発現分布を調べて特徴づけることにより、機能を予測し、口蓋癒合に重要な遺伝子を漏らさず探索したい。 以上の研究計画を推進しながら、どの遺伝子が重要であるかをある程度予測して、機能解析を進めていきたいと考えている。 3.口蓋突起癒合部に特異的に発現する遺伝子の発現分布確認。in situ hybridizationを用いてmRNAレベルの発現分布、あるいは、既知の遺伝子であれば、既存する抗体を使用し免疫染色法を用いて、口蓋突起癒合期(経時的)における発現分布を確認する。組織学的に発現分布を調べて特徴づけることにより、機能的な遺伝子に絞り込んでいく予定である。 以上の研究計画を推進しながら、どの遺伝子が重要であるかをある程度予測して、機能解析を推進したいと考えている
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Causes of Carryover |
口蓋癒合に重要な遺伝子を探索しているが、データベースが膨大であり、絞り込みに時間を要している。そのため、継続した遺伝子解析が必要である。期間延長を行うことによりさらに研究を推進したい。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
リアルタイムPCR、 in situ hybridization, 免疫組織染色等を重ねながら、遺伝子の発現量、分布の解析を継続して行う予定である。学会や論文から情報収集を続けて、研究の効率化を図る予定である。
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[Journal Article] Runx/Cbfb signaling regulates postnatal development of granular convoluted tubule in the mouse submandibular gland.2015
Author(s)
Islam MN, Itoh S, Yanagita T, Sumiyoshi K, Hayano S, Kuremoto K, Kurosaka H, Honjo T, Kawanabe N, Kamioka H, Sakai T, Ishimaru N, Taniuchi I, Yamashiro T
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Journal Title
Dev Dyn.
Volume: 244(3)
Pages: 488-496
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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