2012 Fiscal Year Research-status Report
中高年外科的矯正治療術後患者における新たな顎骨治癒評価系の確立
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24659892
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
志茂 剛 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (40362991)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 明慶 岡山大学, 大学病院, 講師 (50189320)
吉岡 徳枝 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50362984)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ソニックヘッジホッグ |
Research Abstract |
骨折早期では骨髄中の増殖因子が惹起され,骨のリモデリングが開始される。骨折治癒初期過程においてヘッジホッグは骨のリモデリングに関与する分泌タンパク質であることが明らかとなったが,その作用メカニズムは明らかとなっていない。一方で,骨芽細胞の機能に重要な役割を担うFocal adhesion kinase(FAK)に着目し,ヘッジホッグシグナルとの関わりを検討した。 ICRマウス雄8週齢第8肋骨を骨折後3日目に,ソニックヘッジホッグ(SHH)が骨折端周囲の骨髄細胞に発現し,骨折後5日目にはpFAK-Thy397が皮質骨断端部のTRAP陽性破骨細胞に隣接したALP陽性骨芽細胞に発現した。骨折後14日目に肥大軟骨から骨への置換部の破骨細胞に近傍したALP陽性骨芽細胞にSHH,pFAK-Thy397発現を認めた。in vitroにおいて,SHHをMC3T3-E1細胞に添加すると,pFAK-Thy397の発現上昇を認めた。また,SHHは増殖能,分化能,破骨細胞形成能は有意に促進されたが,Short hairpin FAK RNAレンチウイルスを感染させたFAKノックダウン骨芽細胞にはSHHの促進効果は認められなかった。 骨折治癒過程の炎症期,細胞増殖期において,骨髄細胞から産生されるSHHは,骨芽細胞におけるpFAK-Tyr397リン酸化を介し,骨芽細胞増殖,分化や破骨細胞形成を促進することが考えられた。また,骨折治癒過程の仮骨形成期からリモデリング期においては,骨芽細胞自身の産生するSHHがオートクライン的にpFAK-Tyr397を活性化し,肥大軟骨細胞から骨への置換に関与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vitroにおけるSHHの発現とその役割が明らかとなり,高齢マウスを使用した研究への基礎ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
外科的矯正治療患者の術前,術後の経時的に末梢血を採取し,血中ヘッジホッグ含有 量を測定し,顎骨治癒のバイオマーカーとしての位置付けを確立する。 加齢に伴う骨髄細胞における,ヘッジホッグシグナルの局在と機能,そして活性化に関わる生体分子群の解析を明らかとし,ヘッジホッグの加齢に伴い増減する生体分子群が,骨折治療・骨再生療法の新たな決定因子となる可能性を明らかとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「次年度使用額(B-A)」:9,876円が生じた理由:予定より安く物品が購入できたため,残額が生じた。 ELISAプレート,ICRマウスを用いた,in vivo, in vitroの実験に関わる培養細胞,蛋白,RNA関連試薬購入。
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Research Products
(3 results)