2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24659908
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 卓史 東北大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (90585324)
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Keywords | 幹細胞 / 骨芽細胞 / 間葉系幹細胞 / 小分子化合物 |
Research Abstract |
組織内に存在する幹細胞を応用した再生研究が、歯科医学研究の中でも注目を集めている。組織障害や損傷部に 幹細胞を用いた治療を考えた場合、患部に応用した幹細胞が必要な細胞集団に分化し、元の組織へ再構築するこ とが現在の再生療法である。しかしながら、組織修復後に再度何らかの障害が生じた場合には、新たに幹細胞を 調整し再注入する必要があると考えられる。マウス間葉系幹細胞の細胞株であるC3H10T1/2細胞に、幹細胞誘導薬剤BIO(GSK3beta inhibitor IX)を添加(2 uM)し実験を行い、幹細胞マ ーカーであるNanog, Oct3/4などの発現が増強し、骨芽細胞分化を誘導しない低濃度(20 ng/ml)のBMP2を添加により骨芽細胞に効率に分化することを見いだした。このメカニズムを解明するため、細胞内シグナル分子のスクリーニングを行った。その結果、BIO処理されたC3H10T1/2細胞において、多くの組織の幹細胞の維持、器官構成細胞の分化などを制御しているソニックヘッジホッグの標的分子、Gliを増強していることが明らかとなった。つまり、間葉系幹細胞であるC3H10T1/2細胞において、WntシグナルとShhシグナルの細胞内クロストークが行われていることが強く示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウス多能性間葉系幹細胞であるC3H10T1/2細胞は、骨芽細胞、軟骨細胞、線維芽細胞、脂肪細胞などに分化能を有する。この細胞に 、幹細胞誘導剤であるBIOを添加することにより、BIOの標的であるWntシグナルだけでなく、Shhシグナルの細胞内クロストークが起こっていることを見いだした。この結果は、BIOという小分子化合物の新たな活性経路の発見に繋がるのみならず、複数の相乗的なシグナル伝達を可能にし、再生医療に用いる薬剤として、より効率的な応用法の樹立に繋がると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
1、2年の研究により、血管性ニッチの維持に重要な役割を演じているWntシグナルのアゴニストが、間葉系幹細胞であるC3H10T1/2細胞のBMP感受性を増強する能力がある事が判明した。また、その作用機序のひとつに、Shhシグナルとのクロストークが起こっていることが強く示唆された。 本年度は、この細胞内シグナルクロストークのメカニズムを明らかにし、研究結果をインパクトファクターが付与されている国際誌に発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度はトラブルもなく比較的順調に研究が進行した。そのため、実験に使用する消耗品の予算が少ない額で納まった。 来年度は、細胞内のシグナルクロストークの分子機構を解明していくため、ウェスタンブロッティング法を用いて各シグナル分子のリン酸化、分子間結合などを検討するため、持ち越し予算を有効に使用し、抗体などを購入し研究を進める。
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Research Products
(4 results)