2013 Fiscal Year Research-status Report
大震災及び福島県原発事故後の看護者の就業継続のための支援に関する研究
Project/Area Number |
24659950
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 美子 福島県立医科大学, 看護学部, 准教授 (60618833)
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Keywords | 東日本大震災 / 看護師確保 / 就業状況 / 相双地区 |
Research Abstract |
平成25年度は、福島県内の看護師数の実際を把握するため、医療・福祉施設への調査・分析を行った。対象は、看護師が勤務する福島県内の医療施設・訪問看護ステーション・老人福祉施設とした。調査内容は、震災直後の被災状況、半年後、1年後、2年後の看護職員数の変動、確保状況(平成25年3月末日現在)とした。対象施設数は、病院130施設、訪問看護ステーション105施設、老人保健施設及び特別擁護老人ホームなど130施設、診療施設1施設とし、原子力発電所事故による休止施設13施設は除外した。調査方法は、医療機関等の看護管理者宛に調査用紙を郵送し、返送を持って調査への同意とした。回答率は、病院34%、訪問看護ステーション24%、介護老人保健施設及び特別擁護老人ホーム20%であった。 結果は、福島県内の6地域に分類し集計した。病院施設において看護師数に変動が多かったのは休職・離職者数が2年間で525人(回答病床数3315床)に及んだ県中地区、次いで福島市を中心とした県北地区で385人(対応病床数3637床)であった。しかし、平成23年、24年の復職者及び入職者数調査では、県北地区は、317人で17.7%減少、県中地区では、485人で7.7%の減少となっている。変動が少なかったと考えられる県南地区は52人(対応病床数471床)が休職・離職し、44名が復職・入職し15.4%の減少となっている。今だ警戒区域が設定され医療提供体制の不安定な相双地区においては、休職・離職者は116名(対応病床数790床―警戒区域のための閉鎖処置一般病床392床、その他736床)である。また、同じ浜通りであることから、被災者の流入が多かったとされるいわき地区は、2.1%の減少であった。これらの変動については、直後の放射線に関する報道の影響も考えられ、震災後6ヶ月・1年・2年後を詳細に比較検討する必要がある
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
福島県内の医療・福祉施設の看護師数の変動状況についての調査用紙の回収が思うようにできなかった。そのため、回収期間を延長し、調査の広報を行うなど時間を要した。また、回収率が低いことにより、分析結果から対策の検討に困難が生じている状況がある。また、回答施設は、大規模病院が多く、実際に地域の医療を支えている、特に被災が大きかったと考えられる浜通りの相双地区においては、中小規模病院の医療提供体制の変化や看護師確保状況を的確に捉えているとは言いがたい。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の調査に基づき、離職状況からでなく、就業継続している看護師の状況を分析する。特に医療提供体制に困難が生じている相双地区においては、中規模病院の看護管理者を対象に看護師の確保状況、就業継続の看護師についてのインタビューを行い、具体的な看護師確保、就業継続についての方策を検討したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
県内施設の看護管理者からの調査結果の返信の遅れ、回収率の低さから広報期間や回収時期を延長した。また、分析に時間をかけたため、予定通りに進まなかった。 分析方法の検討、連携研究者との検討会議の開催、相双地区における看護管理者インタビューの実践を行う
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Research Products
(2 results)