2012 Fiscal Year Research-status Report
看護師が困難と感じる認知症の行動心理症状の明確化と急性期認知症看護モデルの開発
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24659984
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
鈴木 みずえ 浜松医科大学, 医学部, 教授 (40283361)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 急性期 / 看護師 / 認知症の行動心理症状(BPSD) / 高齢者 |
Research Abstract |
研究の初年度として、急性期病院における看護師が対処困難と感じる認知症に関連した症状と認知症に関連した症状のある患者に対する看護介入の実態を明らかにした。A病院とB病院の病棟看護師を対象に勤務病棟、経験年数、認知症症状のある高齢者の入院頻度、看護師が対処困難と感じる認知症に関連した症状のある高齢者に対する看護内容をアンケートで調査した。看護師696名に調査票を配布、返信されたのは372名(回答率53.4%)、有効回答は267名(71.7%)であった。認知症に関連した症状に対する対処困難感の因子分析の結果、第一因子「治療・看護援助を障害する行動に関する困難感」、第二因子「興奮・多動行動に対する対処困難感」、第三因子「不適切な行動や物忘れに対する対処困難感」、第四因子「失禁に対する対処困難感」、第五因子「不適切な移動に対する対処困難感」という5つの因子が明らかになった。認知症に関連する症状に対する対処困難感の各因子を目的変数として重回帰分析を行った。看護師の認知症に関連する症状に対する対処困難感に対して、「馴染みの看護師のケアの担当」や「名前を呼んで話しかける」などが対処困難感を有意に抑制改善していることが明らかになった。同時に認知症に関連した症状のある患者に対する看護介入の因子分析の結果、第一因子は『混乱を緩和するための看護介入』、第二因子は『個人の生活行動や認知機能のアセスメント』、第三因子は『環境の整備』、第四因子は『残存能力を引き出すための看護介入』、第五因子は『安楽と安全のためのアセスメントと看護介入』、第六因子は『穏やかな生活のための看護介入』、第七因子は『食事に関する看護介入』と命名し、各因子を目的変数として重回帰分析を行った結果、「V:人々の価値を認める」などパーソン・センタード・ケアに関する意識との関係が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に沿って、急性期病院の看護師を対象に調査を行い、看護師が困難と感じる認知症の行動心理症状(BPSD)と看護介入の方法を明らかにした。これらの内容は日本老年看護学会、日本早期認知症学会にて発表し、原著論文として作成、受理された。米国で急性期における認知症ケアの研究を実施しているドーン・ブルッカー博士に助言を得ることができ、専門的な指導・助言を受けることができ、研究を進展させることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の2年目ということで、1年目の結果を踏まえて、急性期に必要な認知症看護の要因について分析を深めていく予定である。 1.急性期認知症看護を理解するための日本語版の急性期看護における英国の教育教材の日本語版の作成と効果検証:実際に認知症認定看護師などを対象に活用しパーソン・センタード・ケアを基本とした急性期認知症看護の実践の可能性に関してフォーカスグループインタビューを実施する。急性期病院に勤務する看護師を中心にインタビューを実施し、急性期に必要な認知症看護の要因分析を行う。 2.急性期病院に入院中の認知症高齢者に対して認知症ケアマッピング法(DCM)を用いた観察:急性期病院における院内ディケアの前・中・後の様子を観察し、対象者の変化から急性期の認知症看護に必要な要因を抽出する。 3.急性期認知症看護ケアモデル作成のための調査:これまでの結果を踏まえて、急性期看護の看護モデルを作成するための指標を作成する。最終年度にアンケートを実施するために、アンケート指標の準備を行う。エキスパートに内容のチェックを依頼しプレテストを実施する。平成26年度4月~5月にはアンケート調査が実施できるように準備を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.急性期認知症看護のエキスパートパネルとして専門性の高い老年看護専門看護師および認知症看護認定看護師によるフォーカス・グループ・インタビューを行うために、ICレコーダー・謝礼および交通費・テープ起し経費(逐語録の作成)などが必要となる。 2.急性期認知症看護モデルの検証に関しては、連携研究者および研究協力者の関連施設は20施設以上であり、これらから5年以上の認知症看護の経験のある看護師を抽出、現在、約10,000名以上であることを把握しており、これらの認知症看護のエキスパートを対象者にアンケート調査準備のための封筒、用紙、印刷代が必要である。 3.連携研究者および協力者らと年に2~3回程度の定期的に会議を開催する。認知症認定看護師および老人専門看護師などのエキスパートの研究協力者への旅費や会議費などが必要となる。 4.データ整理・アンケート用紙の印刷・データ入力などの作業などのための研究補助員を雇用するための謝金が必要である。 5.認知症介護研修研究大府センター、長寿医療研究センター・東京都総合研究所に訪問し、テーマに関する情報収集やアンケートに用いる指標の妥当性などを検討する必要があり、旅費が必要である。
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Research Products
(12 results)