2013 Fiscal Year Research-status Report
入院児の発達段階と性差に則してカスタマイズ可能なプレパレーションツールの開発
Project/Area Number |
24660011
|
Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
服部 淳子 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (70233377)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡崎 章 拓殖大学, 工学部, 教授 (40244975)
西原 みゆき 愛知県立大学, 看護学部, 助教 (40582606)
汲田 明美 愛知県立大学, 看護学部, 助教 (80716738)
森 園子 (赤松 園子) 愛知県立大学, 看護学部, 助教 (60457934)
|
Keywords | プレパレーション / 入院児 / 評価 |
Research Abstract |
本研究では、入院児が体験する検査、処置といった様々な場面を取り上げ、基本的な説明内容を子どもの発達段階、性差、パーソナリティに則し検討し、提示すべき要素を明らかにすることを目的とし、その要素を現場の看護師が容易にカスタマイズして利用できるツールとして開発し、ネット上で公開し、無料ダウンロード提供できるシステムを構築することを目標としている。 平成24年度には、小児看護の専門家会議・文献検討から、プレパレーション・ツールには、勲章的で、頑張りを可視化でき、収集できるデザインとすることを決定した。基本的ツールの対象は、幼児期~学童前期とし、どちらの性でも喜ぶキャラクターとすることとした。デザインは、拓殖大学感性デザイン研究室へ依頼し、花びら型ツールを作成した。入院時に必要なプレパレーション場面について、小児専門病院の看護師と共同して検討し、入院案内、採血、点滴、手術、CT検査、MR検査、腎生検、退院の8種類を作成した。花びら型ツールは、CDファイルにファイリングでき、折りたたむとコンパクトな花びらとなるデザインである。子どもは、処置や検査を受ける前にツールを用いて説明された後、子どもがツールを何度も読み返すことによって、検査や処置の内容を理解することができ、不安や恐怖の軽減につながると思われる。また、ツールを収集することによって、自分の頑張りを可視化することができるため、自己効力感を高めると考えられる。 平成25年度には、小児専門病院の協力の下、作成したプレパレーション・ツールを用いて、プレパレーションを行い、その有効性について研究を行った。3~9歳の子ども89名を対象に、プレパレーションを行い、看護師60名および子どもの保護者69名を対象に質問紙によってプレパレーションの有効性を調査した。その結果、ツールは勲章的な役割、理解度の促進、恐怖の軽減に有効であることが確認された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、入院児が一般的に体験するプレパレーション・ツールを作成し、その有効性を評価したうえで、発達段階別、性別にカスタマイズしたものを作成し、web上で公開し、無料ダウンロードできるシステムを構築するという研究である。 平成24年度には、計画した通り、①プレパレーション・ツールの場面選定、コンテンツの明確化、②プレパレーション・ツールの試作、印刷、評価修正を行った。その結果、入院から退院にいたる8つのプレパレーション・ツールを作成した。 平成25年度の計画は、プレパレーション・ツールを用いた、プレパレーションの効果の検証、使用者評価、プレパレーションの完成であった。これまでに作成したプレパレーション・ツールを用い、小児専門病院の入院児を対象にプレパレーションを行い、その有効性について、看護師およびその保護者を対象に調査した。その結果、ツールの目的である、勲章的役割、理解度の促進、恐怖や不安の軽減について、有効性が確認された。また、自由記述の分析より、より効果的なツールとなるよう、ツールの修正を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
プレパレーション・ツールの保護者および看護師からの主観的な有効性は確認された。今後は、行動観察、サーモグラフィ―等客観的な指標を用い、子どもの恐怖や不安の軽減に有効であるかを検証する。その結果をもとに、プレパレーション・ツールおよび方法を修正し、より効果的なプレパレーション・ツールを作成する。 また、入院児が体験する検査や処置、治療のうち、一般的に必要と思われるプレパレーション場面を小児看護専門家と検討し、不足しているツールがあれば追加し、作成する。性別や発達段階を考慮し、表現内容、イラストなどを検討し、発達段階や性差によってカスタマイズしたツールを作成する。 以上の経過を経て、完成したプレパレーション・ツールをWeb上で公開し、無料ダウンロードシステムを構築する。実際にダウンロードし、使用した施設の看護師らの意見をもとに、カスタマイズコンテンツを充実させ、ダウンロードシステムに加え、汎用性の高いものに作り上げていく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度の研究分担者の変更に伴う研究費使用実績額の減少や有識者会議や旅費等の24年度実績額が支払い請求額よりも少なかったため、25年度に繰り越すこととなった。25年度は、ツールの作成等に予定額以上に費用がかかったが、研究時期と学会発表申請時期が合わず、成果発表が26年度の5月、7月となったため、学会旅費等が少なかった。 成果発表は、5月国際学会(韓国)、7月には国内学会(東京都)で行われるため、25年度残額で対応する。また、これまでに8ツール作成しているが、小児専門家会議によって、一般的に必要なツールの追加として、5ツール程度、さらに、発達段階別に2種類、性別に1種類が見込まれるため、25年度の残額及び26年度研究費で対応する。
|
Research Products
(4 results)