2013 Fiscal Year Research-status Report
患者・高齢者が容易に使用選択できる排泄支援法について
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24660038
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
根本 清次 宮崎大学, 医学部, 教授 (40218277)
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Keywords | 便失禁 / 模擬便 / ヨウ素デンプン反応 / 下着型排泄補助具 / 分解脱着 / 外科用布テープ |
Research Abstract |
失禁領域の確認のため、でんぷん糊にヨウ素を反応させた模擬便を作成し、失禁モデルを再現し、尿・便の排泄補助具への広がりや機能性を検討した。その結果、下着を脱ぐ動作をしない限り、かなり薄い素材でも便失禁を持ちこたえることが明らかになった。この結果より、下着型排泄補助具の分解性を向上し、トイレ座位で片手で分解脱着できる排泄補助具の開発方針を決めた。 女性モデル型人形を用いて採寸を行い、その寸法をもとに工作紙で排泄補助具の型紙を作成した。その後、型紙からミシンを用いて排泄補助具の作成を試みた。排泄補助具の固定素材としてマジックテープ・スナップボタン・表穴ボタン・外科用テープを用いたものを検討し、デザインや機能性といった利点・欠点をまとめた。 試作品を人体模型に着用させ、片麻痺という設定において、排泄補助具の着用、汚物処理、使用後の排泄補助具の脱衣、洗濯、新しい排泄補助具の着衣までを介助なしに行いやすい流れを検討した。今回、右開き用と左開き用の排泄補助具の作成を行ったが、右利きでは左開き、左利きでは右開きの補助具のほうが安楽に動作を行うことができた。排泄補助具の形状において、トイレ座位保持の状態で自己にて排泄補助具の交換を行うためには、2か所の切れ目を入れる必要があった。すなわちクロッチ開始部と右または左サイドを切断し、復元可能な切れ目を入れることが適当であるという結果に至った。切断部を再固定する素材として、マグネット、ファスナー、ボタン、マジックテープおよび外科用布テープを検討した結果、外科用布テープが接合しやすく、あらかじめ切れ込を僅かにいれることで、分解性が向上し、脱ぐことなく、分解的着脱できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、これまで片麻痺がある高齢者でも自力での脱着が可能な排泄用具の形状や素材の検討、その排泄用具を用いた使用の一連の動作の検討を行った。その結果、排泄補助具を固定する素材としては様々なものがあるが、その中で、着脱が簡単で皮膚への刺激が少ない、固定部分がフラットで腹臥位時に腹部が圧迫されず不快感がないといった特徴がある医療用テープが最適であった。幅5cmのものであれば、着用の張力に十分耐え得るという新知見もえることができた。しかし、用途やADL状況、コスト面、安全・安楽性、失禁の状態などの高齢者の個別性に合わせた素材の選択が重要である。このように女性型の排泄補助具の検討はきわめて進んだものの、男性用の排泄補助具の検討・開発が今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
女性における排泄補助具については、市販の使い捨て防水パットを用いることで、再利用部分と廃棄部分を明確化するに至った。しかし男性においては解剖学上身体の構造が女性と異なっているため、汚染が広がりにくい排泄補助具の形状も大きく異なってくる。すなわち男性用排泄補助具においては、陰茎・精巣部が独立した袋状の下着を開発することで、陰部を清潔に保つことができると考えられるため、男性用の排泄補助具の検討・開発が今後の課題である。 今後の方針として、女性の場合装着・脱着を中心課題にしたヒト試験を行いたい。それに引き続き女性版を改良した男性版を完成し、同じくヒト試験を終え、ひとまず開発の区切りとし、成果を発表し、同時に小型洗濯機とシャワートイレからなる高齢者排泄援助システムを構築したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
材料費および物品購入が予想を下回ったため。また男性用排泄補助具における材料の調達が安価に行えた。 男性用排泄補助具の材料費、および男性および女性のヒト実験の実験協力費、学会参加費、旅費として使用よていである。
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