2012 Fiscal Year Research-status Report
訪問看護事業所とかかりつけ医の連携における感染予防上の課題と対策
Project/Area Number |
24660041
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
福井 幸子 青森県立保健大学, 健康科学部, 講師 (00325911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 久子 名古屋市立大学, 看護学部, 教授 (00230285)
細川 満子 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (20315542)
吹田 夕起子 青森県立保健大学, 健康科学部, 講師 (50325908)
前田 ひとみ 熊本大学, その他の研究科, 教授 (90183607)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 訪問看護 / かかりつけ医 / 感染予防 |
Research Abstract |
訪問看護と連携している診療所3施設の看護責任者と,訪問看護事業所6事業所の管理者に対し,感染予防上の連携に関する現状と課題についてインタビューし,逐語録をカテゴリー分類した。現状について診療所では,【訪問看護事業所に供給する注射器材】で「自施設で使用している注射器材を提供」しており,安全装置付き注射器材供給の判断は診療所の感染対策の内容と意識が反映されていた.【訪問看護事業所が使用した廃棄物の受け取り】でも「廃棄物持参時の方法を診療所から指示している」でリキャップを要望しないことや点滴セットは針を外さす持参することなど,診療所の感染対策の実施が訪問看護の廃棄に反映していた.しかし,「訪問看護事業所の方法で廃棄物を回収」のように,回収方法が統一されていない状況だった.また,診療所では【訪問看護事業所と診療所との連携】について「訪問看護事業所と診療所は連携が取れている」や,【訪問看護事業所への感染症の情報伝達方法】では「退院時サマリー」や「退院前の訪問・会議」,「主治医が看護指示書で情報伝達」,通院中に訪問看護が開始された場合は「外来看護師が口頭で情報伝達」とあったが,訪問看護では【医療機関からの情報不足】で,「感染症の情報はサマリーに書かれていないことが多い」「訪問看護指示書の中にも感染症の有無を書く欄が無い」「外来患者の訪問の場合感染症の情報が抜ける」と,診療所と訪問看護側に認識のずれがあった.また,訪問看護では【医療機関からの情報が無くても感染のリスクがあるという認識で活動する】【医療機関からの情報不足による問題は無い】とあるように情報が無いなりの対応をしており,特に感染症の事例が問題にならないと情報の共有について重視しない管理者のリスク感性の低さが推測された.本調査は,診療所と訪問看護事業所の連携に焦点を当てて感染予防の現状と課題を明らかにした意義がある調査である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
訪問看護事業所と連携施設との感染予防上の問題と原因を明確にするという第1研究については,その基礎資料のためにインタビューを実施し,訪問看護と連携している診療所の感染対策の実態が訪問看護の感染対策に影響していることが明らかとなった.訪問看護の感染対策が医療機関からの影響をうけるという現状は仮説と一致し,その具体的内容も明らかとなったことは,第1研究の次の段階に進むうえで成果を得た.また,感染症発生の有無が医療機関連携上の問題認識に影響していることが示唆され,感染予防上の問題と原因を追究するうえで立証すべき内容を明らかにできた.
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Strategy for Future Research Activity |
第1研究の目的である「訪問看護事業所と連携施設との感染予防上の問題と原因を明確にする」を達成するため,インタビュー結果で得た内容をもとに質問紙を作成し、地方と都市部の訪問看護事業所並びに医療機関を対象に質問紙調査を実施する. 第2研究である「感染予防に向けてソフトウエア・ハードウエアの両面から介入し,有効な方策を明らかにする」では,訪問看護事業所並びに医療機関の医療従事者を対象とした研修会を開催し,参加者に自施設および他施設との連携における感染上の問題と対策について明らかにし,実施後の評価を得る.また,リキャップ防止目的と訪問や往診で携帯可能な利便性の高い針廃棄容器の試用を訪問看護師に依頼し,実施後の評価をインタビューを通して得る.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・地方と都市部の訪問看護事業所並びに医療機関を対象に質問紙調査を実施 ・訪問看護事業所並びに医療機関の医療従事者を対象とした研修会を開催し,参加者が自施設および他施設との連携における感染上の問題点を明らかに対策を立案する. ・訪問や往診で携帯可能な利便性の高い針廃棄容器の試用を看護師に依頼し,実施後の評価をインタビューを通して得る.
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