2012 Fiscal Year Annual Research Report
炎症沈静・慢性化の根幹機構の解明:システムメカノバイオロジーの創成へ
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24680049
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
出口 真次 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (30379713)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | メカノバイオロジー / 炎症促進反応慢性化 / 細胞生物物理学 / 細胞バイオメカニクス / 適応 / 力学環境 |
Research Abstract |
本研究の目的は、炎症誘発反応が沈静化する分子機構を、我々がこれまでに見出した「張力ホメオスタシス」の分子機構に基づいて説明することである。さらに、その沈静機構に関わるシグナル分子群が機能しない場合には炎症誘発反応の持続的活性化につながることを証明することである。本年度は細胞ライブイメージングにより、まず張力ホメオスタシスの実現には、非筋II型ミオシンに結合するミオシン調節軽鎖のリン酸化、および、適度な長さの細胞内F-actinが必要であることを示した。 これは細胞内F-actinの長さを変えるjasplakinolideやlatrunculinを投与すると、GFP-alpha-actininの局在によって定量化できる細胞内張力が基準値に戻らないことから確認した。このように張力ホメオスタシスが実現されないとき、炎症反応を誘発するシグナルの発生源である焦点接着斑に対して、過大あるいは過小な張力が負荷され続けることがわかった。つまり、免疫応答が関わる以前の炎症誘発反応そのものの沈静化には、細胞内張力ホメオスタシスが正常に機能することが必須であることが示唆された。別途、幾つかの方法によりミオシン調節軽鎖のリン酸化を抑制すると、焦点接着斑に存在するタンパク質FAK、Cas、Paxillinなどのリン酸化レベルが変化することを免疫染色やウエスタンブロッティングにより確認した。現在さらに詳細な解析を進めているが、これまでのところ十分な大きさの細胞内張力が焦点接着斑に作用しないときには、Paxillinの118番目チロシンリン酸化が上昇することを確認している。このように、非筋アクトミオシンが正常に動作することにより張力ホメオスタシスが維持され、その結果焦点接着斑には基準レベルの張力が作用して焦点接着斑タンパク質の基準レベルのリン酸化が生じる、という相互関係が明らかになってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた実験を行い、これまでのところ作業仮説と矛盾しない結果を得ているが、さらなる詳細な解析が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者は2013年度より名古屋工業大学へ異動するために、関連の深い研究を行う近隣の研究者と協力して研究を進めることを検討している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額とあわせ、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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Research Products
(20 results)