2012 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー生成超強磁場を用いた高エネルギー量子ビーム制御と実験室X線天文学
Project/Area Number |
24684044
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤岡 慎介 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 准教授 (40372635)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 強磁場 / プラズマ / レーザー / ファラデー回転法 / 実験室宇宙物理 / 分光 / 高エネルギー密度プラズマ / レーザー核融合 |
Research Abstract |
本課題の目的は、高出力レーザーを用いた超強磁場発生法を確立し、強磁場と高エネルギー密度プラズマの組み合わせの新たな研究分野を開拓することである。工学分野への展開として、強磁場を用いてMeVからGeVに至る高エネルギー量子のエネルギー集束性の向上及び核融合効率の向上を目指す。基礎科学分野では、白色倭星・中性子星周囲のような強磁場環境における原子・分子の電離・再結合過程を実験室内で再現し、実験室X線天文学の新基軸として発展させる。 本課題の初年度である昨年度は、レーザー駆動キャパシターコイルターゲットを用いて、1.5kTという世界最強の磁場を、磁場圧縮を用いずに発生させることに成功した。磁場圧縮が不要で、自由空間中に強磁場を発生できることから、当初予定していたX線分光に加えて、可視域分光を使える可能性が出てきた。X線分光と比べ、可視域分光のエネルギー分解能は一桁以上高いため、当初計画よりも研究精度が一桁以上高くできる。 時間分解ファラデー回転計測を用いて、磁場強度の時間変化を正確に測定することに成功した。磁場強度とレーザー強度の間に比例関係があることを明らかにし、既存のレーザー装置で数キロ・テスラの磁場を発生できることを示した。 強磁場を用いた実験室宇宙物理研究として、磁化プラズマ中でのサイクロトロン放射及びゼーマン分離に着目し、高波長分解軟X線分光器の設計と製作を行った。設計通りの性能が得られることを確認し、次年度の実験で導入する予定である。また、国際会議にて本成果をアピールし、次年度から仏国、中国、米国の研究者が共同研究者に加わって頂けた。 強磁場発生技術、必要な分光診断技術という基盤に、国際研究協力が加わり、本研究を推進する上で必要なものは揃い、初年度としては予想以上に進展したと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の当初計画では、レーザー駆動キャパシターコイルターゲットを用いて数100テスラの種磁場を生成し、種磁場をプラズマで圧縮することにより数キロ・テスラを達成する予定であった。しかし、キャパシターコイルだけでキロ・テスラの磁場を発生出来ることが確認され、予想を大きく上回った。磁場圧縮が不要になったことで、最終目的を達成する確度が高まった。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の通り、プラズマを用いた磁場圧縮を用いずともキロ・テスラ級の磁場を発生できることが判明したため、実験の自由度が大きく広がった。具体的にはプラズマからの可視発光を利用した研究が可能になったため、X線に加えて可視域でのサイクロトロン放射やゼーマン分離を観測することで、計測精度を一桁向上させる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定よりも若干支出が少なかったために生じた平成24年度の基金未使用分については、プラズマのイメージングに使用するレンズの購入に使用する。
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