2012 Fiscal Year Annual Research Report
多自由度システムエネルギー変換に基づく超微細行動空間基盤の構築
Project/Area Number |
24686037
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
桂 誠一郎 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (00401779)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | システムエネルギー変換 / 電気機器工学 / ハプティクス / 身体性拡張 / 人間支援 / 超微細行動空間 / 電機統合システム / テレリアリティ |
Research Abstract |
本研究では、人間行動空間と超微細行動空間のインタフェースとなる多自由度ピコスケールハプティクス基盤を構築することを目的としている。具体的には、ピコスケールハプティクスに特化したシステムエネルギー変換技術の設計方法論を確立し、超微細行動空間からの力覚フィードバックの基本原理を明らかにすることを目標としており、本年度において次のような研究実績を得ることができた。 1.ピコスケールシステムエネルギー変換技術の検討 研究の第一ステップとして、世界最高レベルのピコスケールシステムエネルギー変換技術の検討を行った。本研究ではこれまでに開発したオブザーバに基づく超広帯域なシステムエネルギー変換原理をピコスケールへと拡張するために、31ピコメートルクラスの分解能を持つリニアエンコーダとコアレス・コギングレスのダイレクトドライブモータを用いたシステムを新たに開発した。特に、ピコレベルの信号のS/N比向上を行うためにカルマンフィルタに基づく信号処理技術を導入し、得られた力覚情報の分解能や周波数特性の観点から評価を行った。 2.ピコスケールマニピュレーション用アクチュエータ部の設計検討 システムエネルギー変換を組み込んだピコスケールマニピュレーションを実現するためのアクチュエータ部の検討を行った。本研究では、摩擦やバックラッシといった非線形性の強い外乱が非常に少ないリニアモータと空気軸受けをアクチュエータ部に採用することにより、ナノメートル以下の分解能で位置決め性能を得ることに成功した。 上記の研究成果に関して40件の査読付き論文を発表するとともに、45件の学会発表(うち1件招待講演)を行い、成果の普及に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ピコスケールシステムエネルギー変換を行うシステムの制御においては、先端部の高精度な位置決めが重要となる。特に制振制御はその性能を決定づける役割を担っており、本年度において波動システムに基づく振動制御の基本原理の導出に成功している。この成果を纏めた論文がIEEEIES国際会議でのBest Paper Awardを受賞するなど、その成果は国際的に高く評価されている。この高いレベルでの制振制御をピコスケールマニピュレーションシステムの制御に導入することにより、構築される超微細行動空間そのものも高性能化が見込まれ、当初の計画以上の成果が得られることが期待されるため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度開発したピコスケールに特化したシステムエネルギー変換と小型エンドエフェクタよるピコスケールマニピュレーションシステムを多自由度に駆動するためのプラットフォームシステムの開発を行う。先端部の確実な高精度位置決めを行うために、プラットフォームシステムに分布定数理論に基づく制振制御系を導入する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
開発を予定しているプラットフォームシステムには、ピコスケールの位置情報の取得のための高速な信号処理が不可欠であり、専用ハードウェアによる制御演算処理の高速化が必要であることが明らかになった。次年度において専用ハードウェアを構築することにより、超微細行動空間基盤構築のための時間・空間分解能を向上できる。
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