2013 Fiscal Year Annual Research Report
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24687032
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
岩瀬 忠行 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (80385294)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 腸内細菌 / 進化・適応 / 人類学 / 細菌学 / 栄養学 / 学際 |
Research Abstract |
近年、腸内細菌と宿主との相互関係において様々な新知見が報告されている。特に腸内細菌による糖質の分解と宿主の栄養・代謝への寄与については数多くの研究がなされており、これまで不明瞭であった腸内細菌の働きが急速に解明されつつある。しかしながら、腸内細菌による窒素代謝とその宿主への影響についてはほとんど研究がなされていない。 そこで本申請者は、「腸内細菌叢がヒトのタンパク質代謝にも関与している」という仮説をたて、これを検証する。より具体的な検討内容は以下の2点である。①哺乳類の腸内に存在する窒素固定細菌が窒素固定を行っているかどうか(哺乳類の腸内に窒素固定細菌が存在していることは知られている)。②窒素固定細菌によって固定された窒素を宿主が利用しているかどうか。 これまでに、ヒトを含む哺乳類ならびに環境から分離された窒素固定細菌の特性解析を行った。その結果、37℃の温度環境においても窒素固定能を高レベルで保持している株が多数存在していることを見出した。窒素固定細菌の遺伝的情報を得るため、窒素固定関連遺伝子クラスター全てについて遺伝子配列を解読・取得した。また得られた株の窒素固定能が、生物学的窒素固定に依存していることを確認するため、窒素固定遺伝子を欠損させた株を作出した。さらに発現レベルを解析するため、real-time PCRを用いた発現解析手法を開発した。加えて、動物実験モデルの開発も行った。無菌マウスを用いた実験系において、良好な定着モデルを得ることができた。菌を投与したマウスの腸から嫌気的にサンプリングした腸内容物に15Nガスを暴露した後、δ15Nを測定した。また宿主による取り込みを検討するため、ガス暴露用のインキュベータの設計・製作し、マウスの飼育を試みた。 引き続き、腸内の窒素固定細菌が宿主の窒素代謝にどのような影響を与えているのかについて検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、菌株の特性解析、遺伝子クラスターの取得、遺伝子破壊株の作成と機能解析、動物実験系の確立、15Nを用いた実験等を行った。特に大きな障害は認められていない。これらの知見を基にさらなる検討を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
15Nガスを用いた動物実験を本格的に行う。またこれまでに得られているin vitroの知見をより精細に検討する予定である。本申請課題の遂行により、本研究のコア部分について明らかに出来るものと考えられる。 本課題遂行後、得られた知見を基にさらなる研究を行うことによって、本研究の持つ潜在的可能性(例えば、高タンパク食下における腸内細菌の働き、腸内細菌と宿主の環境適応(飢餓対応、食餌の選択、宿主の健康維持)、等)を検討することが出来るようになると考えられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
遺伝子クラスターの完全取得を優先的に行ったため(本工程の仕上げを優先した)。 そのため、15Nガスを用いた実験の一部は次年度に移行する。研究課題の遂行に大きな影響はない。 15Nガスを用いた実験(15Nガスを用いたex vivo実験)を行う。 研究課題の遂行に大きな影響はない。
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