2012 Fiscal Year Annual Research Report
水酸化アミノ酸をトレーサーとするペプチド生合成遺伝子資源の新規開拓
Project/Area Number |
24688010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
日比 慎 京都大学, 農学研究科, 助教 (30432347)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 機能性ペプチド / 水酸化アミノ酸 |
Research Abstract |
本研究ではアミノ酸水酸化酵素の一種であるα-ケトグルタル酸依存性ジオキシゲナーゼ(DO)を新規に取得し、その触媒機能性および遺伝子構造情報の詳細な解析結果を利用することで、有用な機能性を保持する新規ペプチド分子種の探索と効率的な生合成手法の開発を実施する。 本年度はアミノ酸水酸化反応を触媒する既知のDOのアミノ酸配列群を解析することにより、アミノ酸水酸化酵素間で保存されているアミノ酸配列を取得した。次いでこの保存配列を基にしたゲノムデータベース検索により相同性の高い配列群を得た。この配列群の中よりDO類に特徴的な共通配列が保存されている配列のみを抽出することで新規アミノ酸水酸化DO候補群とした。さらにこれら新規DO遺伝子のゲノム上における周辺配列を解析する事で、近傍にNRPS様遺伝子が存在するDO類を選別した。以上で選別したDO類中よりBurkho/deria ambifaria AMMD由来のSadAに関して詳細な解析を進めた。SadAはN置換L-アミノ酸類のβ位水酸化酵素であることがわかっており、本菌のゲノム中において16種類の遺伝子から構成されるクラスター構造の一部を形成していた。このクラスターの中にはNRPS様遺伝子も含まれていたことから、本クラスターがある種のペプチド生合成遺伝子群であることが示唆された。そこで本クラスター遺伝子群におけるペプチド生合成経路の解明のため、まずSadA周辺遺伝子の機能解析を実施した。SadA遺伝子の上流に位置するLasA遺伝子をクローニングし、組み換え酵素として大腸菌に異種発現させた。その結果LasA酵素がアミノ酸のN-スクシニル化活性を保持していることを初めて明らかにし、アミノ酸のN-スクシニル化、そしてβ位水酸化が本ペプチド生合成経路において一連の反応として起きていることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度までにゲノムデータベースからアミノ酸水酸化酵素候補DO類が選別されており、この内の一つであるSadAに関して詳細な検討を実施した。既にSadAとLasAの協調的な作用によるN-スクシニル水酸化アミノ酸の生成経路を明らかにしていることから、新規ペプチド生合成経路の全容解明に向けて概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はSadAを含む遺伝子クラスターの全容解明のため、各遺伝子のクローニングと触媒機能解析を進める。これと並行してLasA-SadA反応の最も高活性な基質であるL-ロイシンの同位体(13C,3H)を基質に用いた際にB. ambrfaria AMMDが生産する同位体ペプチドを単離し、分子構造解析を進める。さらに他のDO候補遺伝子に関しても機能解析を実施していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
直接経費次年度使用額は予定していた海外保存機関からの菌株購入手続きが遅延したために生じたものである。次年度の研究費は菌株購入費用、DO活性測定試薬・アミノ酸分析用試薬・遺伝子操作用試薬の購入費用に充てる。また国内外における関連分野の動向調査・研究のための旅費に充てる。
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[Journal Article] A novel 1-isoleucine-4' -dioxygenase and 1-isoleucine dihydroxylation cascade in Pantoea ananatis2013
Author(s)
S. V. Snirnov, P. M. Sokolov, V. A. Kotlyarova, N.N. Sansonova, T. Kodera, I Sugiyama, T. Torii, M. Hibi, S. Shinizu, K. Yokozeki, J. Ogawa
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Journal Title
MicrobiologyOpen
Volume: (印刷中)
DOI
Peer Reviewed
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