2012 Fiscal Year Annual Research Report
造血幹細胞における細胞競合を介した増殖制御機構の解明
Project/Area Number |
24689041
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
細川 健太郎 慶應義塾大学, 医学部, 特任助教 (90569584)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 造血幹細胞 / 細胞競合 / Flower / 骨髄移植 / 細胞増殖 |
Research Abstract |
本年度はまず、Flower(Fwe)欠損マウスを用いて細胞競合におけるFweの機能を解析した。細胞同士の直接接触する条件下でFwe欠損マウス由来造血幹細胞(HSCs)と野生型HSCsの競合培養を行い、用いた競合培養実験の結果から、野生型のHSCsは、Fwe欠損型HSCsよりも増殖優位性が見られたことから、Fweの全アイソフォームを発現しない幹細胞は、いずれかのFweを発現する細胞との競合では増殖劣性を示すことが考えられた。次に我々は、造血幹/前駆細胞分画におけるFwe分子の発現を単一細胞レベルにて確認した。HSCsにおいてFwe1を発現する細胞はFwe2を発現せず、逆にFwe2を発現するものはFwe1を発現しない傾向を見出した。さらに、pro-apoptotic遺伝子群の発現は、Fwe1発現細胞よりもFwe2発現細胞の方が高い傾向のあることが分かった。以上の結果から、Fwe1とFwe2が細胞競合過程のWinnerとLoserに分かれることが考えられた。次に我々は、培養後のHSCsの数を比較することで、Fweアイソフォームの種類ごとの増殖優位性を検討した。Fwel過剰発現HSCsは、コントロールやFwe2過剰発現HSCsとの共培養時に増殖優位性を示した。逆にFwe2の過剰発現HSCsの増殖は、ControlおよびFwe1との共培養時に低下することが示された。さらに、FwelおよびFwe2を過剰発現したHSCsの移植を行った。Fwe2を過剰発現したHSCsは骨髄再構築能がコントロールと比較して有意に低下し、逆にFwe1の過剰発現を行ったHSCsは向上する傾向が認められた。以上の結果から、Fwe1は細胞競合上のWinner、Fwe2はLoserを示す細胞競合過程の指標となる可能性が考えられた。本研究の知見から、細胞競合という概念を基に幹細胞増殖の分子基盤の解明が期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、Fwe分子のアイソフォームごとの競合・選別作用に対する機能を解析することを目的としており、Fwe1およびFwe2の機能を分類・特定できたことから進展が見られたと考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はより詳細にFweの機能を検討するためにFwe欠損マウスに対して、単一アイソフォームのFwe分子を過剰発現し、移植を行っていきたい。また、Fweアイソフォーム特異的抗体を作製し、アイソフォームごとに分離した細胞を、単一細胞レベルで遺伝子発現解析を行い、その特性を比較検討する。 未使用額の発生は効率的な物品調達を行った結果であり、翌年度の消耗品の購入に充てる予定である。また、平成25年度には試薬購入のために研究費を支出する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
未使用額の発生は効果的な物品調達を行った結果であり、翌年度の消耗品の購入に充てる予定である。また、平成25年度には試薬購入のために研究費を支出する予定である。
|