2014 Fiscal Year Research-status Report
不具合検出過程における視線移動に着目したマイクロプロセス分析
Project/Area Number |
24700038
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Research Institution | Nara National College of Technology |
Principal Investigator |
上野 秀剛 奈良工業高等専門学校, その他部局等, 助教 (70550094)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 不具合検出 / マイクロプロセス / 視線計測 / 脳血流計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,ソフトウェアレビューにおける開発者の詳細行動の分析から,熟練者が暗黙知として持っている効果的な不具合検出戦略を明らかにすることである.昨年度までにレビュー効率の高い開発者のレビュー方法に基づいて,設計書とソースコードの読み方を作成し,教示した被験者と教示しない被験者それぞれのレビュー行動を計測した.実験の結果,教示有りの被験者グループは教示無しの被験者グループと比べ,不具合検出率が平均で8.9%高かった. 研究期間3年目である本年度は,前年度の実験で得られたソースコードレビューにおける視線移動と作業履歴データの分析を行った.教示有りと教示無しの各グループにおける視線移動の差を見ると,教示無しは設計書への注視時間がレビュー時間(40分)の22.8%であるのに対して,教示有りは28.6%と差が見られた.この結果は,教示によって設計書を読む時間が増えたことで,不具合発見率の向上につながったことを示唆する.視線移動のパターンにおいても,教示有りはレビュー時間全体を通じてソースコードと設計書を交互に見る動きが観測された一方で,教示無しはレビューの後半に設計書をほとんど見ないといった特徴が見られた. 作業履歴に着目すると,教示有りは教示無しに比べ不具合の指摘精度が高く,レビュー開始から11~30分の期間に指摘精度の差が大きかった.教示無しグループが40分のレビュー時間で到達した発見率(60%)に教示有りグループは25分で到達していることから,読み方の教示は作業者が正しい指摘をレビューの早い段階で行うために有効であるといえる. また,本研究で得られた知見や分析手法を応用し,開発者の脳血流量の変化からプログラム理解過程における作業負荷を計測する手法を開発した.視線移動と作業履歴のみならず,脳血流量を組み合わせた分析はマイクロプロセスの理解に有用と考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画で予定していた分析について,ほぼ予定通りに進捗した.不具合を検出する直前の視線移動のパターン分析などについては今後も継続して行う.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に分析した実験結果について,国際会議および論文誌へ発表し,研究成果を公開する. 視線移動データに対する頻出パターン分析や視線データと作業履歴データを組み合わせた分析については本年度から引き続き行う.また,本年度に開発した脳血流量の変化からプログラム理解過程における作業負荷を計測する手法について,視線移動や作業履歴と組み合わせての分析を行う.
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