2012 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子組換え動物を用いた精巣特異的GPIアンカータンパク質の機能解析
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24700430
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤原 祥高 大阪大学, 微生物病研究所, 特任研究員(常勤) (70578848)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 受精 / 雄性生殖細胞 / GPIアンカータンパク質 / 精子 / 遺伝子組換えマウス |
Research Abstract |
本年度は申請書に記載した研究計画に従い、雄性生殖細胞特異的な発現を示すGPIアンカータンパク質Y(未発表データのため非公開)の遺伝子欠損(KO)マウスの作製に成功した。交配により得られたY-KOマウスを調べたところ、Y-KOマウスも申請者が作製したTEX101-KOマウスと同じく雄性不妊であることが明らかとなった。 続けて、Y-KOマウスの詳細な解析を行ったところ、精巣重量測定、精巣切片観察、精子形態観察そして体外授精の受精率において野生型との大きな違いは見られなかったが、in vitroにおける卵透明帯への結合能が顕著に低下していることが明らかとなった。また、我々が作製した蛍光タンパク質を持つ精子を産生するトランスジェニック(Tg)マウスを用いた解析より、Y-KOマウスの不妊の原因がKO精子の子宮から輸卵管への移行障害であることが明らかとなった。 これらの解析からY-KOマウスの表現型は、精子膜タンパク質ADAM3欠損マウスと酷似している。そして、申請者のこれまでの解析からTEX101-KOマウス精子からはADAM3タンパク質の消失を確認していたが、驚くべきことにY-KOマウス精子にはADAM3が存在していることが明らかとなった。この結果は、正常に発育し雄性不妊を示すADAM3関連KOマウスでは、初めてのケースである。つまり、受精に必須の因子であるADAM3が精子上に存在しているにも関わらず、Y-KOマウス精子はADAM3-KOマウス精子と同様の表現型を示した。これらの点に関しては、これまでの概念を大きく発展させる可能性を秘めているため、来年度も継続して詳細な解析を進めていく計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に記載した研究計画通りに研究を遂行することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究実績でも述べたが、申請者が新たに作製したY-KOマウスは雄性不妊を示し、その表現型は精子膜タンパク質ADAM3-KOマウスと酷似していた。しかし、予想に反してY-KOマウス精子上にはADAM3が存在することが明らかとなった。つまり、これまでADAM3が精子受精能における最重要で且つ最下流の因子であると考えられてきたが、今回の解析により新たな因子が存在する可能性が明らかとなった。 今後は、Y-KOマウス精子にフォーカスを絞った詳細な解析を行い、ADAM3に代わる精子受精能に必須の因子の探索を進めたい。また、研究計画に従い、受精におけるGPIアンカータンパク質の役割を解明したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし。
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Research Products
(11 results)