2012 Fiscal Year Research-status Report
前頭連合野リハビリテーションの有効性を統合失調症に対する介入と脳滋図から検証する
Project/Area Number |
24700542
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
竹田 里江 札幌医科大学, 保健医療学部, 講師 (10381279)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 前頭連合野 / 統合失調症 / リハビリテーション |
Research Abstract |
本研究の目的は,申請者が開発した目的志向的遅延反応訓練(G-DR課題)の効果を,前頭連合野の機能障害が強く想定される統合失調症で検討することと,脳磁図を用いてG-DR課題の基礎となるワーキングメモリ課題遂行時の健常者の脳活動の解析を進めることである.そのための具体的内容として本年度は,①統合失調症で効果を検討するための準備を行った.まず,健常者にてG-DR課題の結果と神経心理学的検査の関連性の検討を行った.健常者50名(平均年齢70.0歳,男女比同数)にG-DR課題と神経心理学的検査(Mini-Mental State Examination(MMSE),流暢性テスト,前頭葉機能検査,数唱,視覚性記憶範囲,Trail Making Test,レーブン色彩マトリックス検査)を実施し,相関を検討した.その結果,G-DR課題の成績とMMSEの遅延再生,流暢性テスト,前頭葉機能検査,逆唱,Trail Making Testで強い相関を認めた.よって,G-DR課題は,ワーキングメモリ,注意,流暢性と深い関連があることがわかり,患者への介入にむけて課題の基盤を明らかにできた.また,統合失調症患者に介入する際のコントロール課題の作成や評価表の整備を行った.②脳磁図を用いたワーキングメモリ課題遂行時の健常者の脳活動の解析を進めた.また,脳機能測定で課題をスムーズに実施するために,画面を自動で遷移できるようプログラムを修正した.尚,G-DR課題に対する特許を取得することができた. 以上のことから,本年度の意義,重要性としては,G-DR課題の背景基盤を検討することができたことと,次年度に統合失調症患者に対する介入研究を行う際の準備ができた点である.これらをもとに次年度は,統合失調症者にG-DR課題を用いて介入し,効果を認知,情動,精神症状,社会・日常生活面から検討することを予定している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
統合失調症に対するG-DR課題の効果を明らかにする介入研究の基盤として,今年度は,健常者データの収集と分析,G-DR課題の修正,コントロール課題の作成,評価方法の整備が実施できた.また,脳磁図を用いたワーキングメモリ課題遂行時の健常者の脳活動の解析と論文作成を進めることができたた.以上から,おおむね順調に進展している.また,本課題に対する特許を取得することができた.今後は,実際に統合失調症患者に介入し,対照群と比較することで,認知,情動,精神症状,社会・日常生活面から多面的に効果を明らかにしたいと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,今年度実施した基盤をもとに,G-DR課題を用いて統合失調症患者に介入し,効果を検討していきたいと考えている.そのための推進方法として,①介入実施施設の協力職員との密接な連携をとりながら実施する,②課題にエラーが起こり,滞ることがないように課題の点検やメンテナンスを常に行う,③得られた結果を正確に解釈するため定期的に結果の検討会を行う,という点に関して実施していきたいと考えている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度,次年度使用の研究費が発生した要因は,本研究の柱であるG-DR課題の修正に要する費用を,当初の想定よりも安く抑えることができた点から生じた.しかし,次年度,統合失調症患者に実際に導入した場合,修正や改良個所が再度生じる可能性が大きい.最終的に統合失調症にも有効に作用するG-RD課題として確立するために,課題の整備・修正費用として次年度使用したいと考えている.
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Research Products
(7 results)