2013 Fiscal Year Research-status Report
前頭連合野リハビリテーションの有効性を統合失調症に対する介入と脳滋図から検証する
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24700542
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
竹田 里江 札幌医科大学, 保健医療学部, 講師 (10381279)
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Keywords | 前頭連合野 / 統合失調症 / リハビリテーション |
Research Abstract |
本研究の目的は,申請者が開発した目的志向的遅延反応訓練(G-DR課題)の効果を,前頭連合野の機能障害が強く想定される統合失調症で検討することと,脳磁図を用いてG-DR課題の基礎となるワーキングメモリ課題遂行時の健常者の脳活動の解析を進めることであ る.そのために,本研究では,①G-DR課題の特徴の解析,②統合失調症患者に対するG-DR課題の効果を,認知機能,社会生活技能,日常生活機能などの観点から解明,③脳磁図を用いたワーキングメモリ課題遂行時の健常者の脳活動の解析,の3点を進めた.特に本年度は,②に関して主に実施した. 統合失調症患者にG-DR課題を用いたリハビリテーションを3か月間実施し,その効果を精神症状,認知機能,情動,社会生活技能,日常生活機能,モチベーションなどの観点から解析した.その結果,不安が強く外出に消極的であった患者に対しては,認知機能の改善に加え,外出などの新たな行動を起こすためのきっかけになったこと,一方,保続が強く柔軟性の乏しかった患者においては,患者の興味を重視した内容を課題に取り入れることで,保続の改善,柔軟性の向上が見られ,患者の興味を持つ話題以外の内容にも積極的に取り組むようになるなど,モチベーションの向上を認めた.このように,統合失調症の症状や障害の特性に応じて,G-DR課題の効果に多様性があることが示唆された.よって今後さらなる症例の蓄積によって,効果の多面性を検討する必要であると考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の本年度の主目標である統合失調症患者に対するG-DR課題の効果を,精神症状,認知機能,情動,社会生活技能,日常生活機能などの観点から検討する点について実施できたためである.しかし,症例数が少ないこと,効果は一定ではなく多面性があったことから,今後G-DR課題を導入する症例を積み重ね,効果を詳細に検討していく必要性が明らかになった.
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Strategy for Future Research Activity |
今回得られた結果に関して,現段階のものをまとめ成果発表などを進めていく.同時に,G-DR課題を導入する症例を増やし,効果の多面性を検討していきたい.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究課題に関連する研究論文が査読中であり,英文校正や論文掲載料として予定していたものを使用できなかった. 次年度における使用用途は,論文執筆に関係する関連図書の購入,英文校正,論文掲載料を予定している.
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