2013 Fiscal Year Annual Research Report
イカ表皮色素の化学構造の解明と着色料への応用に関する研究
Project/Area Number |
24700817
|
Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
伊藤 裕才 国立医薬品食品衛生研究所, 食品添加物部, 主任研究官 (40435706)
|
Keywords | 色素 / 軟体動物 |
Research Abstract |
スルメイカ外皮から昨年度と同様に塩酸メタノールを用いて色素を抽出した。抽出液を逆相と陽イオン交換機能を兼ねたOasisMCX固相カートリッジ(Waters社)に繰りかえし負荷して色素を吸着させた後、25%アンモニア水/メタノール=1:25溶液でxanthommatin類と考えられる赤色色素を溶出した。この赤色素はアンモニア/メタノール溶液中で迅速に黄色色素へと変化した。続いて0.5M水酸化ナトリウム溶液を用いてommin類と推定される褐色~紫色の色素が溶出した。褐色~紫色の溶出液を大容量のC18カラムに負荷し、水、メタノールで洗浄後、塩酸/メタノール溶液で溶出させた。溶出液は鮮やかな紫色を呈した。この紫色素を含む画分を中和せずに減圧濃縮した。その結果、固形の色素が得られ、この色素は水溶性を示した。水に再溶解した色素を水/アセトニトリル/ギ酸を移動相に用いた逆相UPLC/PDA/TOF-MSによって分析した結果、複雑な組成のクロマトグラムを得た。観測された色素成分の極大吸収は480~540nmまで幅広く、色素成分ごとに差異が認められた。この結果から本画分の色素は複数の色素成分によって形成されていることが改めて確かめられた。またTOF-MSによって観測された各ピークの分子関連イオンピークは、m/z 450~800の間に観測された。最も主要な色素成分は正イオンモードでの分析においてm/z 759にイオンピークを示し、さらに高分解能マススペクトルによる元素組成予測を行った結果、複数の硫黄分子の存在が示唆された。過去の研究発表においてommin類には硫黄が含まれているとの報告があったが、その報告を追随する結果となった。
|