2012 Fiscal Year Research-status Report
インドネシア西ジャワ農村の持続可能な栄養改善-地域住民による学校給食導入の試み
Project/Area Number |
24700821
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関山 牧子 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特任助教 (90396896)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際栄養 |
Research Abstract |
インドネシア西ジャワ州の農村部では学童の頻繁な間食により栄養素摂取のバランスが崩れ、学童の成長を遅滞させていることが報告されている。本研究は地域住民による持続可能な方法によって学童の栄養を改善することを目的とする。 初年度は、以下の内容で調査を実施した。 1)本研究の対象村である西ジャワ州B農村における食事摂取状況を、食事調査の結果に基づき検討した。その結果、対象村では食事の欠食が多く、ほぼすべての対象者が間食をしていることが明らかとなった。間食として食される食品は栄養素密度が低く、脂質過剰摂取、微量栄養素不足をもたらしていた。また、頻繁な間食によって家計が逼迫し、食事用の食品購入が妨げられており、高価で栄養価の高い食品を摂取できない、あるいは、調理自体を行わないといった状況が確認された。上記結果から、健康的な食物選択に関する教育の重要性が示唆された。 2)インドネシア並びに他の開発途上国における学童の栄養改善、特に学校給食の取り組みについて、国際栄養の専門家やインドネシア地域研究の専門家、並びに、現地大学の栄養の専門家から情報を収集した。その結果、インドネシアにおいても現地大学・NGOなどによる学校給食導入の試みは実施されているものの個別の例にとどまっていること、開発途上国においても近代化による食の多様化が進むなかで、WHOなどの国際機関はここ数年、学童の栄養改善プロジェクトにおいて学校給食を需要な軸にしていることなどが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は予定していた内容の現地調査を実施できなかったため、申請者が前年に実施した調査結果の解析とその成果発表、並びに、国際栄養の専門家やインドネシア地域研究の専門家、現地大学の栄養の専門家に対するヒアリングを重点的に実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は以下の方針で研究を進める。 1) 地域住民によって持続可能な方法での栄養改善策を検討する。具体的には、村人による学校給食提供について、現地大学スタッフと介入時期、介入研究デザイン、評価方法などについて議論する。その上で対象とするB村に赴き、小学校に調査説明を行い、調査への理解・協力を得るとともに、給食を調理する地域住民を複数選定する。 2) 1)の結果に基づき介入調査を実施する。具体的には、対象とする小学校において、ベースライン調査を実施したのち、1ヶ月間給食を提供し、再度ベースライン調査と同様の調査を行う。介入の効果は、A)食費、B)健康的な食物選択に関する知識、C)学校での学習態度、D)栄養素摂取状況、E)身体計測値の面から評価することを予定している。また、小学校教諭、調理者、保護者に対し聞き取り調査を実施し、給食提供の問題点等を明らかにする。 3) 現地で収集したデータをデータベースに整理し、介入前後のA)食費、B)健康的な食物選択に関する知識、C)学校での学習態度、D)栄養素摂取状況、E)身体計測値の変化について検証する。さらに、介入にかんする問題点、改善事項を洗い出し、給食提供の最善法をまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現地調査を実施するために必要な旅費並びに現地人件費・謝金を使用する。
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Research Products
(3 results)