2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24701004
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
安藤 孝将 富山大学, その他の研究科(大学院医学薬学研究部(医学)), 助教 (30600671)
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Keywords | 胃神経内分泌癌 / 突然変異 / DNAメチル化 / 癌遺伝子 / 癌抑制遺伝子 |
Research Abstract |
胃腺癌11例、胃神経内分泌癌9例の癌部及び、非癌部の内視鏡生検を用い、Ion AmpliSeq Panel Kit (Life Technologies)による55個の癌関連遺伝子における遺伝子変異解析及び、Infinium Human Methylation 450 BeadChip array (Illumina)によるゲノム網羅的メチル化解析を行った。 胃神経内分泌癌9例中6例において癌抑制遺伝子であるTP53(5/9)、CDKN2A(1/9)に突然変異を認めた。一方で癌遺伝子には突然変異を認めなかったが、2例においてKRAS(1/9)、ERBB2(1/9)の遺伝子増幅を認めた。これらは、いずれも胃腺癌で報告されている遺伝子異常であった。次に、胃神経内分泌癌のゲノム網羅的メチル化解析の結果から、821個の遺伝子のプロモーター領域に癌特異的なメチル化異常を受けることが明らかとされた。これらについてgene ontology解析を行った結果、nuronal differentiatonやtranscription factorに関連する遺伝子が高率にメチル化異常を受けることが明らかとなった。このうち13遺伝子(RPL37, ZNF175, SLC7A5P1, HAPLN3, GNG7, CCDC126, ZFP3, EIF2C1, HFN1B, ZNF665, TLE1, TMCO1, TMPRSS2)は、神経内分泌癌のみでメチル化異常を受けており、細胞周期や細胞分化に関わる遺伝子を含んでいた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゲノム網羅的なメチル化解析、また、突然変異解析を終了した。 Sequence variationの解析に関しては、治療標的となりうる癌遺伝子の突然変異は認められなかったものの、癌遺伝子増幅を同定し得たため、今後多数例での検討を行う価値がある研究結果であったと考えられる。 また、DNAメチル化異常についても、研究計画どおり腺癌との比較により、神経内分泌癌特異的な13遺伝子のメチル化異常を同定した。これらを国内、及び海外における学会発表を行い、今後の研究指針について討論することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今回認められたSequence variationの解析では、ERBB2及びKRAS遺伝子の増幅を確認した。治療標的と成り得ることを確認するために、2遺伝子の蛋白発現を免疫組織化学法で確認する必要がある。ERBB2に関しては、現時点でHER2陽性胃癌に対するTrastuzumab使用が保険承認されており、神経内分泌癌に対して適応可能かどうかを、併用する化学療法とともに検討していく必要がある。 ゲノム網羅的メチル化解析で同定された13遺伝子については、病態にどのように関与するかを検討していく必要がある。具体的に、標的遺伝子をノックダウンし、神経内分泌マーカー(chrmogranin, synaptophysin)の発現変化を観察し、更に細胞のphenotypeを確認する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の研究において、胃神経内分泌癌のサンプル数の増加に伴い、個々に対してメチル化アレイを行ったことで、抽出される遺伝子解析に遅れが生じた。また、遺伝子群抽出の解析手法に関し、メチル化アレイの他、発現アレイを追加したため、同定される遺伝子群に再考が必要となった。 現在、アレイからの遺伝子同定過程は終了しております。今後同定された個々の遺伝子について、文献的に機能を評価する。その後、胃腺癌細胞株を用いて、標的遺伝子のノックダウンを行い、神経内分泌細胞癌に特徴的な遺伝子の発現の変化や、細胞の表現型の評価を行う。
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