2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24701004
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
安藤 孝将 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (30600671)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 神経内分泌癌 / DNAメチル化異常 / 突然変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】胃神経内分泌癌は極めて稀な組織型であり、病理組織学的な類似性から小細胞肺癌に準じた治療が行われているものの、その起原や分化段階に応じた個別化治療が望まれる。しかし、分子生物学的な異常については不明な点が多く、ゲノム網羅的に解析された報告もない。本検討では、胃神経内分泌癌において治療標的や病態成立に関わる遺伝子異常を同定することを目的とした。 【方法】胃腺癌10例、胃神経内分泌癌10例の癌部及び、非癌部の内視鏡生検を用い、倫理委員会の承認を受けて、Ion AmpliSeq Panel Kit (Life Technologies)による55個の癌関連遺伝子における遺伝子変異解析及び、Infinium Human Methylation 450 BeadChip array (Illumina)によるゲノム網羅的メチル化解析を行った。 【結果】胃神経内分泌癌10例中6例において癌抑制遺伝子であるTP53(6/10)、CDKN2A (1/10)に突然変異を認めた。癌遺伝子には突然変異を認めなかったが、2例においてKRAS(1/10)、ERBB2(1/10)の遺伝子増幅を認めた。これらは、いずれも胃腺癌で報告されている遺伝子異常であった。次に、胃神経内分泌癌のゲノム網羅的メチル化解析の結果から、714個の遺伝子のプロモーター領域に癌特異的なメチル化異常を受けることが明らかとされた。このうち胃腺癌と異なり、13遺伝子(RPL37, ZNF175, SLC7A5P1, HAPLN3, GNG7, CCDC126, ZFP3, EIF2C1, HFN1B, ZNF665, TLE1, TMCO1, TMPRSS2)は、神経内分泌癌のみでメチル化異常を受けており、細胞周期や細胞分化に関わる遺伝子を含んでいた。 【結語】胃神経内分泌癌において、少数であるが、治療標的と成り得る遺伝子増幅を認めた。また、ゲノム網羅的メチル化解析で抽出された複数の遺伝子は病態成立に関連する可能性があると考えられる。
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