2012 Fiscal Year Research-status Report
資源・土石・エネルギー・CO2分析用の日中NAMEAの推計と集約型指標の研究
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24710045
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
氏川 恵次 横浜国立大学, 国際社会科学研究科, 准教授 (90361873)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / 中国 / サテライト勘定 / SEEA / NAMEA / 国際産業連関 / 地域間産業連関 / 指標 |
Research Abstract |
本年度は第1に、2009年に公刊されたSNA2008と最新版のSEEA2003および研究対象地域としての日本で2001年以降に開発されてきた日本版NAMEAとの関連性を比較研究した。また加えて中国のSEEA, NAMEAの比較研究も遂行できた。これらについては後述の研究業績に示した。 なお、年度途中において、急遽新たなSEEA2012が公表されたことを受けて、追加的に最新のSEEAと従来のSNA、SEEA、NAMEAとの関係性を明らかにする必要性が生じてきたが、鋭意対応することを通じて、これらについて、研究業績で示した成果をまとめることができた。 第2に、次年度に向けた産業連関関係のデータとして、資源・エネルギーの物量表を用いた産業連関分析、日中でのエネルギー・資源政策、環境効率性、資源生産性にかんする指標の先行研究の整理を行い、日中多地域間産業連関表をはじめ、日中各々の雇用者数表やエネルギー・炭素の換算係数、日本の経産省資源・エネルギー統計や資源エネルギー庁非鉄金属需給統計、中国での能源統計年鑑・有色金属統計の統計データの収集を実施した。 第3に、海外渡航によるヒアリング調査として北京市への海外調査を実施し、とりわけ国家統計局関係者から統計データ収集、政策文献収集、政策ヒアリング調査等を実施した。 第4に、サテライト諸指標の比較研究について、学内外での経済統計・SNA・SEEAにかんする研究会で報告しリプライを受けた。これについては、後述の研究業績に示した。また、学会誌投稿準備を鋭意進め、学術雑誌(PAPAIOS等)や海外雑誌(Ecological Economics等)に論文執筆・投稿の準備を推進した。さらに並行して、次年度の国内学会(環太平洋産業連関分析学会(PAPAIOS))での報告のエントリーを開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第1に、日本におけるSNAとSEEAおよびNAMEAをめぐっては、研究の目的に記した同テーマについては、整理することができた。さらに、中国におけるSNAとSEEAおよびNAMEAに相当する勘定についても、追加的に収集・検討することを通じて、その意義と限界を明らかにすることができた。 第2に、今年度の途中に、急遽新たなSEEA2012が公表された。同体系ではとくに、貨幣・物量勘定における貨幣的・物的供給使用表のフレームワークや、実際環境費用およびデータの環境評価の部分での大幅な変更がなされた。同勘定体系についても、追加的に精査・検証し、とりわけ前ヴァージョンであるSEEA2003およびSNA2008との関係性を明確にすることができた。 第3に、研究計画に記したように、次年度においては、後述のように主に産業連関分析を計画しそのためのデータの収集・精査が必要であった。この点については、先ず資源・エネルギー分析用の産業連関分析、日本および中国におけるエネルギー・資源政策、環境効率性や資源生産性にかんする諸指標の先行研究のサーヴェイをとり行った。 とりわけ日中間の地域間の国際産業連関表については、2012年3月に経済産業省と中国国家統計局により、急遽新たな2007年日中国際産業連関表が公表された。同表にかんして、資源・エネルギー関連統計や、中国の能源統計年鑑等を収集した。また北京市での調査を実施し、国家統計局等の担当者からヒアリングを実施し、現地で資料・データを収集した。 第4に、上記のように学内外での経済統計・SNA・SEEAにかんする研究会で研究報告を行い、リプライを受けた。また国内学術雑誌やJournalに論文執筆・投稿の準備を推進した。さらに次年度の国内外学会での報告のエントリーを開始した。以上により、上記のような達成度であるということができる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度においては、以下、研究の目的に記したように、とくに初年度のSNA/SEEA/NAMEAの比較研究に基づいて、日本・中国の各種勘定を活用し、資源・エネルギーに焦点を絞った日中間の簡易版SEEA/NAMEAを試作する。これにかんして、第1に、二国間あるいは多地域間におけるSEEA/NAMEAを、一連のSNA表象形式の比較検討を通じて考察する必要がある。 第2に、SEEA2003/2012に基づき、日本および中国のSEEA/NAMEAを、共通の産業連関表または供給使用表の形式に組み替えるべきである。この推計に関連して、既存の2000年日中多地域間産業連関表と2007年日中間産業連関表とを比較検討しつつ、並行して日中の各種エネルギー・資源データを精査・収集する作業が必要である。 第3に、SEEA2012では中枢体系において環境資産全般を対象とする前提として3つのサブシステムに沿った、勘定の推計が勧められている。本研究では、とりわけエネルギー、物質のシステムについて、ケーススタディを実施する。 第4に、以下、研究計画に記したように、先ず上記のようにSNAおよび産業連関分析のサーヴェイを補完的に実施し、日中地域間表関連の補完的統計データ・資料を中国渡航による調査を含めて収集しつつ、エネルギーおよび物質のサブシステムにかんする産業連関表あるいは供給使用表の推計を試みる。 またこうしたサテライト勘定や産業連関・供給使用表をめぐる研究報告を学内外の研究会または学会(PAPAIOS等)で報告しリプライを受ける。さらに国内の学術雑誌(『産業連関』等)やJournal(Ecological Economics等)に論文執筆・投稿の準備を開始し、並行して海外の学会(The International Society for Ecological Economics等)へのエントリーを開始する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の執行限度額は800,000円にたいして、執行額は合計499,995円であった。内訳をみると、物品費は執行額236,265円(執行率78.76%)、旅費は執行額164,230円(執行率46.92%)、謝金等は執行額96,000円(執行率73.85%)、その他は執行額3,500円(執行率17.50%)という状況になった。以上にかんしては、研究を進めていくにつれ、急遽、新たな資料が公表されることがあり(例、SEEA2012)、こうした新規資料に応じた図書・資料等の購入、海外渡航による追加的な調査研究および統計・資料収集、収集データの資料整理・入力といった一連の作業の必要性を勘案して、執行率を抑えた次第である。 次年度については、執行限度額が1,100,005円である。各々の費目別にみると、第1に、物品費は予算額243,735円であるが、上記の研究の推進方策で示したように、日中の各種エネルギー・資源データ、日中地域間表関連の補完的統計データ・資料等の入手に充てる必要がある。また研究成果の作成にあたって比較的大型の画面を有するPC環境の整備等も考えている。 第2に、旅費は予算額685,770円であり、まず研究対象地域である中国への渡航による統計・データ・資料収集、ヒアリングの機会が、夏季および冬季休暇の際等に、各々1週間程度得られるといえる。他方、複数の国内研究会・学会での報告・意見公開のために使用する予定である。 第3に、謝金等は予算額134,000円であり、上記の各種情報の整理・入力のために有効に活用できると思われる。加えて、専門的知識の提供や、既述のようにJournalへの投稿に向けた校閲等に使用を考えている。さらに、その他は予算額36,500円であるが、こちらもやはり複数の国内学術雑誌、Journalへの投稿を予定しているため、有意義な利用となるといえる。
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