2012 Fiscal Year Research-status Report
ウイルス検出に向けた糖鎖固定化技術の開発とデバイス応用
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24710136
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
秀島 翔 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (10580433)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ナノバイオ / 糖鎖 / バイオセンシング / 電界効果トランジスタ / ウイルス |
Research Abstract |
本課題では、糖鎖をプローブとして利用した電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor; FET)によるウイルスの表面電荷を検出するバイオセンシングを提案し、高感度かつ迅速なウイルス検出法の可能性を探索する。平成24年度は、ゲート表面に修飾した有機単分子膜の末端のアミノオキシ基に対する高密度糖鎖固定化方法について検討した。まず、糖鎖溶液濃度や反応時間等の糖鎖固定化条件を最適化し、ウイルス表面に存在する糖鎖認識タンパク質を捕捉可能な糖鎖固定化FETの作製を試みた。作製した糖鎖固定化FETがウイルス表面に存在する糖鎖認識タンパク質(ターゲットタンパク質)を添加した際に応答し、かつ無関係タンパク質添加時には応答しないことを確認し、同FETがターゲットタンパク質に対して特異的に応答することを確認した。また、同FETのターゲットタンパク質の検出限界濃度の評価を行ったところ、現在幅広くプローブとして用いられる抗体を用いた検出と比較して優れた検出感度を有していることが確認された。また、糖鎖を変えることで他の糖鎖認識タンパク質検出に対しても本手法が有用であることが示された。以上のことから、FETゲート表面への糖鎖の固定化条件を厳密に制御することで、糖鎖を高密度に集積し、糖鎖クラスター効果を発現させ、その結果タンパク質と糖鎖の結合能が増強され、糖鎖認識タンパク質の特異的かつ高感度検出が達成されたと考えられた。現在、学外の研究機関と共に同FETを用いたウイルス検出の可能性を模索中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本課題で考案した手法で作製した糖鎖固定化FETが、ターゲットタンパク質に対して特異的に応答することに加えて、抗体を用いた従来法と比較して優れた検出感度を有していることを確認した。更に、数種類の糖鎖認識タンパク質に対しても本手法が適応可能であることを確認し、ウイルス検出において土台となる糖鎖固定化界面の作製に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
作製した糖鎖固定化FETの「ターゲットタンパク質の検出感度の調査」と「交差特異性の評価」を更に推進する。また、同FETがウイルスの捕捉・検出に有用であることを示すことで、考案した糖鎖固定化技術がウイルス検出用デバイスに応用可能であることを示す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は消耗品と旅費に主に分配する予定である。消耗品に関しては、糖鎖(シアリルラクトース等)やインフルエンザウイルスヘマグルチニンの他、ウイルス検出において必要となる試薬・器具を適宜購入する。また旅費に関して、今年度は国際学会(国際電気化学会(メキシコ、9月)およびアメリカ電気化学会(アメリカ、10月))にて本研究に関する情報の収集および得られた成果の発表を行う予定である。
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