2013 Fiscal Year Research-status Report
機能性ペプチドの高精度探索アルゴリズムを用いた翻訳制御抗腫瘍ペプチド探索法の開発
Project/Area Number |
24710222
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
高橋 広夫 千葉大学, 園芸学研究科, 准教授 (30454367)
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Keywords | 情報工学 / 癌 / 医療・福祉 / 薬学 |
Research Abstract |
がんなどの疾患の多くは、複数遺伝子が原因で生じ、多数の診断マーカーが報告されている。しかし、臨床的に意味がある新薬開発は大変遅れている。申請者はこれまでに、ゲノム上から、機能性ペプチド候補をハイスループットに抽出するアルゴリズム: BAIUCAS(バユカス)を開発した。本手法は、数万にも及ぶ生物種に対する1億以上の配列から機能性ペプチド候補を抽出する手法であり、これをヒトゲノムに応用することで、翻訳制御型ペプチド抗がん剤の開発が期待できる。 今年度は、昨年開発した改良BAIUCAS法(ESUCA法と命名)を、5種の植物(シロイヌナズナ・イネ・トマト・ポプラ・ブドウ)と6種の動物(ヒト・ニワトリ・ゼブラフィッシュ・ショウジョウバエ・線虫・ホヤ)へ応用し、種間で保存されているuORFペプチドの抽出を試みた。 応用の結果、植物では、保存されているuORFペプチドが、非常に綺麗に抽出できたが、一方で、動物では、ホヤ・線虫では、保存されているuORFペプチドは、まったく抽出できず、また、ヒトでは、300以上のuORFペプチドが同定されたが、多くが、ほ乳類でのみ保存されているもので、動物界で広く保存されているものでは無いことが分かった。現在、ESUCA法では、属を超えて保存されているものを抽出しているが、種によって、属の定義は、大きく揺らいでいることが、原因と考えられる。そのため、ほ乳類を超えて、保存されているものを抽出するなど、基準の再検討を行う必要がある。また、今年度は、細かい問題の修正や高速化など多数の改良を行った。 以上のように、ヒトで、保存されているuORFペプチドを同定できるようになったので、今後は、ここまでの成果をまとめ、論文化を行い、さらに、機能性uORFペプチドの解明を進め、抗がん剤開発だけに留まらず、病気の診断、創薬や診断に有用な手法の開発を遂行する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者の提案手法であるBAIUCAS法は、これまでは、シロイヌナズナゲノム専用に設計されており、様々な生物への応用やヒトのような10倍のゲノムサイズを有する生物への応用は、計算量的に、また、データサイズ的に困難であった。そのため、当初の計画通り、様々な種への応用を容易にするためのwebデータベースとのインターフェースの開発と、アルゴリズムの改良による高速化などを行った結果、様々な手法へ応用が、容易に出来るようになり、また、ヒトゲノム上で、進化的に保存されている300以上のuORFペプチドを同定することに成功した。また、これまで、EST(Expressed Sequence Tags)配列やTSA(Transcriptome Shotgun Assembly)配列から、手動で候補uORFを同定し、ka/ksシミュレーションを行っていたものを、自動で、行えるように、改良したことで、大幅に、手動での操作が減少し、客観性の向上とミスの減少、解析時間の大幅短縮が可能となった。さらに、本研究に関係する査読付きの原著論文を国際誌で6件発表することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
実験系を立ち上げ、既知の抗がんペプチドの様々ながん細胞株に対する効果検証を行う。機能性uORFペプチドの翻訳制御マシナリー解明のために、新規同定した機能性uORFをin vitroレポーターアッセイ系で調べる。in vitroレポーターアッセイ系では、uORFが存在する位置に点突然変異を導入し、どの塩基が実際に翻訳活性制御に関わっているか機能検証を行う。さらに、同時並行で、機能性uORFペプチド同定手法の精度向上のために、偽陽性のチェック項目を追加や、大幅な高速化のために、アルゴリズムの改良を行う。以上の成果を、それぞれ、論文としてまとめる。また、学会発表等で、成果を発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は、昨年度に引き続き、本提案の根幹部分である方法論の確立と関連する研究の早期の論文化に力を入れた。その甲斐あり、今年度は査読付き原著論文を国際誌に6報も発表することが出来た。また、3報の論文を国際誌に投稿中である。さらに、共同研究として進めている研究が、5件分ほど投稿準備段階にある。しかし、論文の英文校閲や出版料などの出費の問題や実験補助員の適任者を探すのに難航したこともあり、実験系の立ち上げに必要な費用を来年度に繰り越した。 来年度の雇用予定の実験補助員と雇用契約を結び、実験環境の立ち上げ準備を進めている。適切な研究環境を保つために必要な殺菌用エタノール、キムタオル等の消耗品を購入する。また培地を調製するための各種試薬類、各種実験消耗品、器具類、機能性ペプチドの合成費用などウエット実験に関わる経費や、論文の校閲や出版料、研究発表、研究打ち合わせなどの交通費、ドライ研究のための計算環境維持に必要なコンピュータのパーツ類の購入などを予定している。
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[Journal Article] Meta-analyses of microarrays of Arabidopsis asymmetric leaves1 (as1), as2 and their modifying mutants reveal a critical role for the ETT pathway in stabilization of adaxial-abaxial patterning and cell division during leaf development2013
Author(s)
Takahashi H., Iwakawa H., Ishibashi N., Kojima S., Matsumura Y., Prananingrum P., Iwasaki M., Takahashi A., Ikezaki M., Luo L., Kobayashi T., Machida Y. and Machida C.
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Journal Title
Plant Cell Physiol.
Volume: 54
Pages: 418-431
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Dual regulation of ETTIN (ARF3) gene expression by AS1-AS2, which maintains the DNA methylation level, is involved in stabilization of leaf adaxial-abaxial partitioning in Arabidopsis2013
Author(s)
Iwasaki M., Takahashi H., Iwakawa H., Nakagawa A., Ishikawa T., Tanaka H., Matsumura Y., Pekker I., Eshed Y., Pradel S. V., Ito T., Watanabe Y., Ueno Y., Fukazawa H., Kojima S., Machida Y. and Machida C.
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Journal Title
Development
Volume: 140
Pages: 1958-1969
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Predictive value of high-molecular weight adiponectin in subjects with a higher risk of the development of metabolic syndrome: From a population based 5-year follow-up data2013
Author(s)
Kotooka N., Komatsu A., Takahashi H., Nonaka M., Kawaguchi C., Komoda H., Asaka M., Abe S., Taguchi I., Toyoda S., Nishiyama M., Inoue T., Node K.
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Journal Title
Int. J. Cardiol.
Volume: 167
Pages: 1068-1070
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Macrophage migration inhibitory factor and stearoyl-CoA desaturase 1: Potential prognostic markers for soft tissue sarcomas based on bioinformatics analyses2013
Author(s)
Takahashi H., Nakayama R., Hayashi S., Nemoto T., Murase Y., Nomura K., Takahashi T., Kubo K., Marui S., Yasuhara K., Nakamura T., Sueo T., Takahashi A., Tsutsumiuchi K., Ohta T., Kawai A., Sugita S., Yamamoto S., Kobayashi T., Honda H., Yoshida T., Hasegawa T.
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Journal Title
PLoS ONE
Volume: 8
Pages: e78250
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Identification of a candidate single-nucleotide polymorphism related to chemotherapeutic response through a combination of knowledge-based algorithm and hypothesis-free genomic data2013
Author(s)
Takahashi H., Kaniwa N., Saito Y., Sai K., Hamaguchi T., Shirao K., Shimada Y., Matsumura Y., Ohtsu A., Yoshino T., Takahashi A., Odaka Y., Okuyama M., Sawada J., Sakamoto H. and Yoshida T.
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Journal Title
J. Biosci. Bioeng.
Volume: 116
Pages: 768-773
DOI
Peer Reviewed
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