2014 Fiscal Year Research-status Report
近世後期・近代初期における薩摩藩の文事および薩摩人脈の解明
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24720100
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
亀井 森 鹿児島大学, 教育学部, 准教授 (40509816)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国文学 / 近世文学 / 長澤伴雄 / 国学 / 和歌 / 薩摩 / 台湾大学 / 高崎正風 |
Outline of Annual Research Achievements |
〈研究実績の概要〉 本研究は近世後期から幕末・近代初期における文芸の中で特に和歌に焦点を絞り、京都の堂上家と島津家との関係を一つの軸とする和歌史を解明し、京坂の歌壇から近代初期の御歌所へと繋がる薩摩藩歌人の文事・教育・人脈を解明することを目的とした。 26年度研究業績としては、台湾大学で行われた第4回日台アジア未来フォーラム「東アジアにおけるトランスナショナルな文化の伝播・交流―文学・思想・言語」にて、「古典籍のトランスナショナル―国立台湾大学図書館特蔵組の試み―」と題して口頭発表を行った(台湾大学文学院講演ホール,平成26(2014)年6月23日)。これまでの研究成果と課題を述べ、台湾・日本の研究者と交流を図った。次に台湾大学との共同出版計画である『長澤伴雄自筆日記』第2巻の刊行準備を行った。第2巻は27年秋に刊行予定である。第1巻刊行後に台湾大学と出版の契約を見直し、2年で1冊の刊行ペースに改めた。これによって当初の研究計画よりも時間がかかることになるが、資料の精度を落とさずに第5巻まで刊行するためには必要な措置であると考える。また12月には鹿児島大学附属図書館・ミュージアム知覧共同企画展(於知覧ミュージアム)「木村探元と武家のたしなみ」図録の解説項目を分担執筆した。これによって江戸中期の島津家の文事を再確認し、幕末薩摩歌壇とのの連続性を見出すことができた。 また26年3月に天理大学図書館へ出向いて調査を行った際に依頼した複写物が5月に届き、資料精査に取りかかっている。これらの成果を用いて27年度には報告が出来ればと考えている。また京都での実地踏査をふやし、年間3回各3泊4日で応募者単独で行う。そのための国内旅費および資料複写などを主な必要経費として計上する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題は大きく二つの柱で構成されている。そのうち一つの柱である「台湾大学図書館長沢文庫蔵『長沢伴雄自筆日記』の公刊」について、当該年度には5分冊中の第2巻の刊行にむけて準備を行った。台湾大学との契約期限は27年度に第2巻を刊行する予定であるので、達成度は問題ない。 また26年度は2つめの柱である薩摩藩関係の研究について、天理大学が所有する高崎正風の日記を複写して史料面で充実した。それを基に高崎正風の明治政府あるいは明治天皇との関係を精査して、27年度の報告書作成に向け準備を行った。しかし、当初の予定よりも達成度は低くやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は台湾大学図書館長沢文庫蔵『長沢伴雄自筆日記』第2巻を秋に刊行予定である。これによって本科研の1つの目標である『長沢伴雄自筆日記』の公刊は達成できると考えている。しかし、文字の解読などに時間がかかるために、作業に遅れが生じている。そこで、本年度は学生アルバイト1名をデータ入力・資料整理のために雇用し作業の効率化をはかる予定である。 また27年度は幕末京都の天皇周辺での薩摩人脈を探り、近代へと続く人脈の原点を明らかにしたいと考えている。そのために京都では大手前大学の盛田帝子氏に協力を仰ぎ、資料の閲覧等の便宜を図っていただく予定である。 台湾大学にも出版の最終打合せ等で赴き、本科研の最終年度の報告を行いたいと思う。
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Research Products
(3 results)