2015 Fiscal Year Annual Research Report
近世後期・近代初期における薩摩藩の文事および薩摩人脈の解明
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24720100
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
亀井 森 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (40509816)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国文学 / 近世文学 / 長沢伴雄 / 台湾大学 / 薩摩藩 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は近世後期から幕末・近代初期における文芸の中で特に和歌に焦点を絞り、京都の堂上家と島津家との関係を一つの軸とする和歌史を解明し、京坂の歌壇から近代初期の御歌所へと繋がる薩摩藩歌人の文事・教育・人脈を解明することを目的とした。 最終年度研究業績としては台湾大学との共同出版計画である『長澤伴雄自筆日記』第2巻の出版打ち合わせおよび台湾大学長沢文庫の調査を行った(平成28年3月)。残念ながら本研究期間内には刊行できなかったが、平成28年9月に刊行が決定した。これによって本研究の実績として大きな一歩を記すことができると考える。 上記日記の刊行に先立ち本年度は『井上文雄判 柳河藩歌合集』(亀井森編、柳川古文書館、平成28年3月)を刊行した。本研究と大きく関わる内容で、当初の研究計画には予定していなかった依頼編集であるが、本研究の進展に大きく貢献した。本研究による成果の一部と言える。 本資料集成は、幕末の柳河藩で盛んに行われた歌合を収録したものである。収録した歌合は『歌合』『三十六番夏歌合』『二十四番冬歌合』『三十番春歌合』『三十六番歌合』『昔のとも』『田ごとの月』『〔二十六番歌合〕』の八種である。特に、三十九冊にのぼる『歌合』は近世立花家の文事の最後を飾る記念碑的な作品群であり、本資料集成によって藩主立花鑑寛と純姫が中心となって形成した幕末柳河藩の文事の様相を窺うことができるだろう。 研究開始当初から薩摩藩関係の資料収集につとめ、資料購入を積極的に行ってきたが、平成28年1月に薩摩藩士八田知紀自筆巻物『八田知紀歌巻』を購入した。今後の調査によって八田知紀研究にとって不可欠な資料になると考えている。
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