2013 Fiscal Year Annual Research Report
大学講義をデータとした「わかりやすい」日本語の研究
Project/Area Number |
24720229
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
俵山 雄司 群馬大学, 国際教育・研究センター, 講師 (30466685)
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Keywords | 大学講義 / わかりやすい日本語 / やさしい日本語 / 留学生 |
Research Abstract |
本研究は、大学における留学生対象の講義データの分析から、外国人にとっての「わかりやすい日本語」の特徴をあぶりだすことを目指した。これは、留学生と大学教員との円滑なコミュニケーションを目的としたものである。 平成25年度は、まず、専門教員による留学生対象の講義データと、日本語教員による講義データの比較を行った。その結果、後者のほうが、質問などのインターアクションを多用していることが明らかになった。続いて、専門教員による留学生対象の講義データと一般学生対象の講義データの比較を行った。その結果、前者のほうが、発話の長さが短いなどの特徴が観察された。しかし、この調査を通して、講義における日本語の「わかりやすさ」は、講義の内容や受講者の知識・人数に大きな影響を受けるため、単純比較が難しいことがわかった。 そこで、研究の視点を、講義の受け手(留学生)側から見た「わかりさすさ」へと移し、調査を行った。具体的には,専門教員が実際に使用した「専門用語の説明」の表現を抽出し、これを基に作成した複数の「専門用語の説明」を映像で中国人日本語学習者に提示した。それぞれの「わかりやすさ」について評価をしてもらった結果、「提題型」「質問型」「挿入型」「後置型」の4タイプのうち前2者が、高い評価を得た。また、同様の調査を「一般語の語義説明」についても実施し、「質問型A(質問→具体例→要点)」「質問型B(質問→要点→具体例)」「連続型」の3タイプのうち「質問型B」が高い評価を得た。 一方で、調査後の学生へのインタビューやアンケートの記述などから、特に、中級学習者の講義理解には、配布資料や教科書など、事前・事後に参照可能な視覚的なリソースが大きな役割を果たしていることが判明した。ここから、講義では、第一に視覚的なリソースを十分に与え、発話への工夫はそれを補完するものと位置付けるべきであると結論づけた。
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