2012 Fiscal Year Research-status Report
縄文・弥生移行期における石器石材資源の開発と流通に関する復元的研究
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24720352
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉山 浩平 東京大学, 総合文化研究科, 特任研究員 (60588226)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 考古学 / 先史資源の活用 / 黒曜石 / 柏峠黒曜石原産地 |
Research Abstract |
本年は、神奈川県南足柄市五反畑遺跡の遺物整理およびその報告書の製作を行った。もう一つは静岡県伊豆市の柏峠黒曜石原産地の発掘調査を行った。 五反畑遺跡については、2011年に本研究代表者が発掘を行った際の出土品の整理作業および報告書の刊行である。五反畑遺跡は、縄文時代後期から晩期の遺跡であり、過去の調査で様々な産地の黒曜石など石器石材が出土している。今回、遺物の整理作業を行った結果、黒曜石の出土は多くなかった。しかし、遺跡で検出された火山灰を分析し、検討した結果、縄文時代後期末ごろの富士山を起源とする降下スコリア(砂沢スコリア)であることが判り、火山噴火による環境変化が当時の集落動態に影響を与えたと推定した。本研究内容につき、発掘調査報告書を製作したほか、研究発表を1本、論文を1本執筆した。 柏峠黒曜石原産地はこれまでまったく考古学的な調査が行われたことが無く、本研究による発掘調査がはじめての考古学的調査となった。黒曜石の産出状況を確認するため、トレンチを設定し、掘削を行った。その結果、縄文土器と石器類の出土が確認され、柏峠が縄文時代の黒曜石原産地遺跡であることが判明した。出土した縄文土器の時期は早期と前期のものである。本研究内容について、概略的な報告書の作製を現在行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
五反畑遺跡については、出土品の分析を行い、報告書を刊行することが出来た。また、柏峠での初めてとなる考古学的調査を実施し、成果を挙げることが出来たため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度においては、引き続き伊豆市柏峠における発掘調査を行う予定である。当初予想していた縄文時代後期および晩期とは異なる時期の出土を見たが、完新世初期という人類の定住化へ向けた活動時期にあたる縄文時代早期の検討は大きな課題が提示されたことになる。 平成25年度はまず、平成24年度の調査で出土した遺物の資料化を進めると共に、発掘調査に向けた準備を行いたいと考えている。また、具体的黒曜石の産出について検討するため、考古学の研究者のみならず、火山学の研究者にも発掘調査期間に来ていただき、検討を行いたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
火山学関係研究者の旅費30万円 考古学関係 研究協力者の旅費17万円
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